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ネオジム系磁石の磁力15%高める技術、愛知製鋼と東北大が開発

EV用電動アクスル小型化へ
ネオジム系磁石の磁力15%高める技術、愛知製鋼と東北大が開発

磁粉を単結晶化し向きをそろえることで性能を向上(左が開発した磁粉)

愛知製鋼は9日、東北大学と共同でレアアース(希土類)のジスプロシウム不使用のネオジム系磁石で、磁力を15%高める技術を開発したと発表した。磁石の粉末の製造工程を改良し、磁粉を単結晶化すると同時に向きをそろえることで性能を向上した。電気自動車(EV)などに使う電動アクスルの小型化が見込める。2021年度中に量産体制を整え、同磁石を使った製品の実用化を目指す。

愛知製鋼はモーターと減速機を一体化したEV用電動アクスルで、独自のジスプロシウム不使用ネオジム系磁石「マグファイン」を使い、既存製品より4割の小型化を実現している。今回改良した磁石を使えば、さらに5割まで小型化が可能になるという。

マグファインの製造工程で、磁石原料の粉砕時に熱処理温度と圧力を制御することで磁粉構造を多結晶から単結晶化した。磁粉内の結晶の向きを高度にそろえる技術も確立し磁力を高めた。同社の製造技術と東北大の解析技術を組み合わせた。

日刊工業新聞2021年2月10日

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