トヨタ系サプライヤー強し!13社中7社が通期業績を上方修正
トヨタ自動車グループの主要部品メーカー7社のうち豊田自動織機、愛知製鋼、トヨタ紡織、豊田合成の4社は、2021年3月期業績予想で売上高と全利益項目を上方修正した。中国や米国でトヨタの販売が急回復していることが主な要因。一方、欧州などでの新型コロナウイルスの感染再拡大リスクも織り込み、各社は徹底した固定費削減活動を継続し利益創出につなげる。
豊田自動織機は営業利益を7月予想比250億円増の850億円に、トヨタ紡織は同230億円増の360億円と大幅に上方修正した。豊田自動織機の佐々木卓夫副社長は「7―9月期以降、自動車部門が急回復している」と説明。トヨタ紡織の沼毅社長は「働き方改革や固定費削減が急速に進んだ」と合理化策が利益を押し上げる。
デンソー、アイシン精機、ジェイテクトの3社は新型コロナ影響を慎重に見極め、通期予想を据え置いた。デンソーは燃料ポンプのリコール費用も響く。ただし各社とも「濃淡はあるが、トヨタ以外のメーカーも含めて回復基調にある」(デンソーの山中康司副社長)との見方を示す。ジェイテクトは赤字予想だが、佐藤和弘社長は「経済環境が大きく変わらなければ黒字の少し手前までは持って行ける」と見通す。
2020年4―9月期連結決算は新型コロナの影響による販売減が響き4社が営業赤字。しかし7―9月期で見るとほぼ全社が黒字を達成。中でもアイシン精機は「原価低減や合理化で前年同期比で増益だった」(三矢誠副社長)。各社は今後の経済情勢悪化リスクを注視しつつ、さらなる経営体質強化に努める。
一方、中堅部品メーカー6社の21年3月期連結業績予想は、東海理化とフタバ産業、中央発條の3社が上方修正した。新型コロナウイルス感染拡大の懸念は残るが、主要顧客であるトヨタ自動車の生産が回復しているほか、原価改善活動が業績に寄与する。
東海理化など3社は売上高と各利益項目で上方修正した。東海理化は主に北米やアジアでの増収や日本での合理化努力で前回予想(10億円の営業赤字)から45億円の営業黒字に転換を予想。フタバ産業は20年4―9月期の上振れ分が通期にも寄与し、北米と欧州でリスクを見つつも日本と中国が堅調に推移する。中央発條も総費用低減活動などが利益を押し上げる。
東海理化の二之夕裕美社長は「進めている原価低減には自信を持っている」とし、中央発條の高江暁社長も「(総費用低減活動は)さらに取り組めるところがある」と一層の収益改善を図る。
一方、通期見通しを据え置いた3社でも、大豊工業の杉原功一社長は「先行き不透明感は残るが、自動車市場は回復基調」と分析。今後ハイブリッド車(HV)向けインバーターケースの量産拡大などが業績に寄与する。愛三工業は中国を中心に回復傾向とみており、20年10―12月期で黒字化を見込む。ファインシンターは日本や中国で想定以上の回復はみられるが、新型コロナ影響などで「堅めに見積もった」(井上洋一社長)。20年4―9月期連結決算は6社ともに営業赤字だった。