自動車業界は7ー9月に今の中国のように挽回も。トヨタ系サプライヤーの投資に注目せよ!
研究開発は「CASE」見据え維持も、不透明さは変わらず
トヨタ自動車グループの主要部品メーカー各社は、新型コロナウイルス感染拡大による業績悪化が見込まれる中でも、研究開発投資を維持する方針を明らかにした。2021年3月期も前期と同程度を視野に、CASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)を軸に投資を確保する。一方21年3月期の業績予想は新型コロナの影響が見通せず未定とした。
主要部品メーカー7社が30日に開いた決算説明会で示した。デンソーは20年3月期と同程度の売上高比10%未満を目安に維持する方針で「大幅な一律カットは考えていない」(松井靖経営役員)。豊田合成も同4%程度を想定。「将来の事業の種。計画通り進める」(宮崎直樹社長)。アイシン精機やトヨタ紡織も、ムダを削減しながら開発費を確保する。
背景にはCASEでの競争激化があり、アイシンの伊勢清貴社長は「歯を食いしばってでもやらねばならない」と強調した。7社の20年3月期の研究開発費の合計は、前期比1・8%増の9498億円だった。
同日発表した20年3月期連結決算は、愛知製鋼を除く6社が減収営業減益だった。米中貿易摩擦による市場減速に、新型コロナによる需要低迷が追い打ちをかけた。中でもジェイテクトは欧州での固定資産の減損額132億円が響き、10期ぶりの当期赤字に転じた。安形哲夫社長は「改善に向け抜本改革を行う」とした。愛知製鋼は原材料価格が低下し営業増益だった。
各社は車メーカーが北米での生産を再開する5月以降、徐々に需要が戻ると予想するが「回復には時間がかかり先行きは不透明」(デンソーの有馬浩二社長)。景気低迷の長期化を見据え、構造改革を進める構えだ。