ずさんな車両管理の奥にあった無理筋、カーシェアマッチング会社の倒産劇
カーシェアマッチングサービスを運営していたSERIASは、2020年11月24日に東京地裁より破産手続き開始決定を受けた。
同社は18年4月に設立。同社を中心に「SERIASグループ」を形成し、所属する法人が一体となって「スカイカーシェア」の名称でカーシェアマッチングサービス事業を手がけていた。同サービスは個人が所有する高級車について業務委託契約を結んだ後、ネット上やスマートフォンのアプリケーション(応用ソフト)などでユーザー募集し、車を貸し出すことで収益を上げるもの。
ユーザーがレンタカーと違い「わ」ナンバーでない高級車を運転できることをうたっていたほか、オーナーには毎月契約に応じた入金があるメリットがあり、設立2期目で10カ月の変則決算ながら19年8月期には約3億円の年売上高を計上していた。
ただ、20年8月には月末の支払いを延期するという連絡が発信された。資金繰りは以前から苦しかったようだ。事業を推し進めるにつれ、販管費などの経費負担が拡大する一方、売り上げの伸びが鈍化し、資金繰りが悪化。19年夏ごろには金融機関に融資を依頼していたようだが、応じるところはなく、「高利で1億2000万円の資金を調達」するほか、取引先から支払い猶予を受けることで何とか資金繰りをつけていた。
しかし抜本的な改善には至らず、逆に金利負担が増加して経営を逼迫(ひっぱく)させていった。その後、新型コロナウイルス感染症対策として融資を受け、手元資金を増強させたほか、会員制交流サイト(SNS)での広告に力を入れ事業の立て直しを図ったが、前述の通り支払い延期を要請。事業継続を断念することとなった。
事業停止後、車両のずさんな管理などが表面化して騒動となったが、事業拡大に伴う経費負担から資金繰りが悪化していた際、運転資金確保のため高利で資金調達したことが経営環境を悪化させ、事業停止につながる要因の一つとなった。
(文=帝国データバンク情報部)