歴史的な低水準の企業倒産、支えた地銀の業績はどこまで持ちこたえられるか
6割が減益に、与信費用増で経営の負荷強まる
新型コロナウイルス感染症拡大への対応で、地方銀行の業績への負荷が大きくなっている。各行は貸し倒れに備えた引当金の計上を増加。主要地銀20行・グループの2020年4―9月期連結決算は14行・グループが当期減益、21年3月期は12行・グループが当期減益を見込む。感染再拡大に入ったことで、地域経済悪化が危惧される中、各行いずれも融資先への支援などを強化している。
「厳しい決算だったが、最悪のケースではなかった」―。全国地方銀行協会の大矢恭好会長は18日都内で会見し、4―9月期決算をこう総括した。新型コロナ対応はあったものの、与信費用の大幅増を抑えられたとの認識がある。背景には、金融機関の実質無利子融資が奏功したことがある。信用調査2社のまとめでは、4―9月の企業倒産は歴史的な低水準にとどまった。
ただ、今後は予断を許さない。感染再拡大で地域経済が落ち込み、融資先の資金繰りが急激に悪化する恐れがある。与信費用の今後については「下期や来年度以降にしっかりみなければ」(大矢会長)と警戒する。
与信費用増で経営への負荷が強まる中、地銀には地元経済を支える取り組みが求められる。各行は資金繰りだけでなく、経営改善につながる支援にも動いており、ビジネスマッチングやコンサルティングなどのサポートを強化する地銀も相次ぐ。地銀が果たすべき役割は、従来以上に大きくなっている。
日刊工業新聞2020年11月19日の記事から抜粋