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コロナ禍でも安定成長の大成建設、新社長は21年度の建設需要が「だいぶ戻る」と予想

コロナ禍でも安定成長の大成建設、新社長は21年度の建設需要が「だいぶ戻る」と予想

大成建設社長・相川善郎氏

リニューアル事業拡大

建設業界を取り巻く環境が厳しくなっている。民間投資が伸び悩み、新型コロナウイルス感染拡大が追い打ちをかけた。受注競争が激しくなりつつあるなか、大成建設は多様な収益源を確保し安定成長を目指す。相川善郎社長に今後の経営方針などを聞いた。

―6月に社長に就任し4カ月ですが、当面の経営方針は。

「建設事業を核に、周辺事業も含めて成長基盤の構築を進めた村田誉之前社長の方針を引き継ぐ。これに加え外部環境に大きく左右されない持続的で安定した成長ができる経営体制の構築を目指す。建築・土木の請負だけでなく、多様な収益源を持ち、強い企業にする。国内の建設投資は年間50兆―60兆円はあり、需要が極端に減少するとは思わない」

―新型コロナ感染拡大の影響は。

「東京五輪・パラリンピック関連施設の建設後、予想以上に民間の建設需要が減った。受注競争が激化する中で、コロナの影響が加わった。今後も予測より下がる可能性はあるが、21年度にはだいぶ戻ってくるだろう」

―強化する事業は。

「当社の強みでもある建築のリニューアル事業を大幅に拡大したい。新築案件は景気に左右されやすいが、防災関連など土木インフラのリニューアル案件も一定のニーズがある。積極的に取り組みたい」

「エンジニアリング事業では強みのある製薬、食品分野で人材を増やし、建築とプラントを一体で提案する。都市開発事業の投資も増やしていきたい」

―コロナの影響は海外事業にも及んでいます。

「海外需要は浮き沈みが激しい。これまでは大型プロジェクトの受注が中心だった。今後は安定した受注と売り上げを確保した上で、プロジェクトにチャレンジするというビジネスモデルに変える。東南アジアに重点を置く。台湾とベトナムを最重点国・地域とした。それ以外のシンガポールやフィリピンの鉄道など交通インフラや、ミャンマー、インドネシアなどでも受注を確保する」

―ゼネコン各社は生産性向上に取り組んでいます。

「ITの活用やデジタル化を積極的に進める。研究開発体制を強化するため、新中計でも予算を増やすことになるだろう」

日刊工業新聞2020年10月28日

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