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今を生きる私たちに窯業の歴史と技術を伝える

今を生きる私たちに窯業の歴史と技術を伝える

「窯のある広場・資料館」の土管窯は国の登録有形文化財になっている

窯業の歴史と技術伝える

「日本六古窯」の一つで、陶磁器の産地として古くから栄えてきた愛知県常滑市。その歴史は平安時代末期まで遡り、明治期から土管の製造が主体となった。しかし、すでに土管製造は終了し、土管窯特有の長い煙突が立つ光景は「昔の姿となってしまった」(尾之内明美館長)。その土管窯などを今に残している施設がLIXILのINAXライブミュージアムだ。

館内の「窯のある広場・資料館」に残る土管窯は1921年(大10)に作られた。97年には国の登録有形文化財に登録された。同館は耐震性の問題から改修工事を行い、2019年にリニューアルオープンした。窯の中をプロジェクションマッピングによる視覚的表現で、今を生きる私たちに窯業の歴史と技術を伝えてくれる。

同館を出て奥に進むと見えてくる「世界のタイル博物館」も目玉施設の一つだ。世界中のタイル約7000点を保存、展示する。そのうち約6000点はタイルを求めて世界各地を旅したタイル研究家の山本正之氏のコレクションだ。

館内には日本だけでなく、オランダやポルトガル、イスラエルといった国のタイルに出会える。中でも1階に展示されているタイルはミュージアムの「見て、触れて、知ってほしい」(尾之内館長)との思いから、ほぼ全て触ることができる。

体験教室にも力を入れている。特に来館者に人気なのが、06年から「土・どろんこ館」で開いている光るどろだんごづくりだ。粘土を削って色付けし、磨いて作るもので、これまで約30万人が体験している。現在は新型コロナウイルス感染症の拡大で体験教室の規模を縮小。すぐに予約枠が埋まる状況であるため、自宅で楽しめる持ち帰りキットを発売している。

LIXILが文化活動の一環で運営するINAXライブミュージアム。自社製品を展示しない産業博物館として、「旧INAX創業の地の魅力を伝える場」(同)として親しまれている。

【メモ】▽開館時間=10―17時▽休館日=水曜日(祝日の場合は開館)、年末年始▽入館料=大人700円(70歳以上は600円)、高・大学生500円、小・中学生250円▽最寄り駅=知多バス「INAXライブミュージアム前」下車、徒歩2分▽住所=愛知県常滑市奥栄町1の130▽電話番号=0569・34・8282
日刊工業新聞2020年10月9日

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