JAXA、「こうのとり」後継機で「宇宙太陽光発電」の技術実証
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、新型宇宙ステーション補給機「HTV―X」1号機で、宇宙太陽光発電システム(SSPS)構築に向けた、宇宙空間での構造物展開技術の実証実験を行う。同機に搭載された縦2メートル×横4メートルの平面アンテナを展開させ、地上から電波を送り受信できるかを検証。1号機を打ち上げる2021年度にも実施する計画だ。HTV―Xは、19日任務を終了した「こうのとり」の後継機。
SSPSは宇宙で太陽光発電を行うシステム。宇宙空間に巨大な太陽電池と送電のためのアンテナを配置し、太陽光エネルギーを電波に変換して地球上のアンテナに送信後、電力に再変換して利用する。自然エネルギーを使い、大容量の電気を作れる未来技術として注目されている。今回の実験は、宇宙空間で大規模な構築物を完全無人で展開するための要素技術の獲得につながると期待される。
SSPSの実現には、数百メートル―数キロメートルの大規模展開構造物を宇宙空間に展開する必要がある。3万6000キロメートル上空で、ほぼ夜にならず太陽光が当たり続ける「静止衛星軌道」に設置する計画。コストや安全性から有人での組み立てが困難なため、宇宙空間に完全無人で構築物を組み立てる技術が必要。段階を踏みながら宇宙空間での展開構造物の実証をしていく。現在は30メートル級の構造物の展開技術の獲得を目指し、要素技術の実験装置の設計や試作、試験などを実施してきた。
宇宙空間での構造物を完全無人で展開させる技術獲得の一歩として、まずはHTV―X1号機に平面アンテナを搭載し展開実験を行う計画。展開するパネルは太陽光電池ではなくアンテナのみ。そのため今回は宇宙から地上に送電する実験は行わず、地上から送信した電波を受信させ、展開したアンテナが正しく作動するかを検証する実験となる。