宇宙・航空分野の概算要求は初の2000億円台、「H3」開発加速
新型物資補給機「HTV―X」の開発も
文部科学省の2020年度予算概算要求のうち、宇宙・航空分野が19年度当初予算(1560億円)比で約3割増の2000億円程度となることが分かった。19年度の概算要求額1990億円も上回る。文科省の同分野予算の概算要求としてはこの10年間で最も大きく、2000億円超は初めて。20年度打ち上げの新型基幹ロケット「H3」や、国際宇宙ステーション(ISS)用の新型物資補給機「HTV―X」の開発などを加速させる。
H3は20年度打ち上げ予定の初号機、21年度打ち上げの2号機の開発費や打ち上げなどで19年度当初予算比5割増の350億円を計上。さらに固体ロケットブースター「SRB―3」やアビオニクス(航空宇宙関連のエレクトロニクス)などH3の部品との共通化を目指す小型固体燃料ロケット「イプシロン」の開発を実施する。
20年度打ち上げ予定で、広域かつメッシュ幅80センチメートルの高分解能で地上を観測できる先進光学衛星「ALOS―3」や、観測幅200キロメートルで地震や豪雨災害などを受けた超広域の被災地の状況を把握できる先進レーダー衛星「ALOS―4」の開発費用に19年度予算の10倍程度となる約200億円を盛り込む。
宇宙探査への投資も加速する。HTV―Xの開発に約100億円を計上。現在のISS用物資補給船「こうのとり」を改良し、輸送コストの4割程度の低減を目指す。
さらに21年度に月面の目標地点へ誤差100メートル以内のピンポイント着陸を目指す月着陸実証機「SLIM(スリム)」の開発に19年度予算と同程度となる十数億円を計上する。
日刊工業新聞2019年8月23日(科学技術・大学)