ニュースイッチ

建機業界でますますリース会社の存在感が高まる理由

ICTやファイナンスの「目利き力」が求められる
建機業界でますますリース会社の存在感が高まる理由

2019年度の国内建設機械本体出荷額は8955億円(写真はイメージ)

2019年度の国内建設機械本体出荷額は8955億円。直近10年間で最高額となる中、同年度の土木建設機械リース取扱高および割賦・延べ払い契約高は5274億円(中古含む)となり、リース会社は建設機械投資を支援する重要な役割を担っている。

土木建設業界は約50万社の建設事業者が支えているが、そのうち、98・8%が資本金1億円未満の中小零細企業という構造になっている。このため、建設機械メーカーや販売業者にとってはリース・割賦などのファイナンスサービスを付加することが販売促進の重要な要素になっている。

災害復興、老朽化したインフラ整備などで、建設投資は今後も高い需要が維持されると予想されるが、建設業界で一番の課題は労働力確保だ。

建設業就業者の減少と高齢化が進行している現在、人材確保のための働き方改革、省人化・労働生産性向上のためのIT活用や人工知能(AI)導入は欠かせない状況になっている。

建設業界が抱える課題に対し、国土交通省が16年度から推進しているのが「i―construction(アイ・コンストラクション)」だ。建設生産プロセスを情報通信技術(ICT)を活用してデジタル化し、生産性向上を目指す取り組みで、ドローン測量でさまざまなデータを取得したり、得られたデータを活用して工期の短縮や建設現場の省人化を図るなどがその一例だ。

アイ・コンストラクションを推進する上で必要なのがICT建機だが、ICT建機は高額で、依然建設機械全体に占める導入割合は数%に過ぎない。その普及を後押し、建設業界のイノベーション実現に貢献できるのが、リース会社と言える。

リース会社は、モノの価値を判断する「目利き力」がある。さらに建設事業者、建機メーカー、建機販社など、業界に関わる多岐にわたる顧客とネットワークがある。この二つの強みを生かし、高額なICT建機を導入しやすい仕組み(オペレーティングリースなど)を提供することが可能だ。

将来的には、建設機械の導入方法も必要な機械を必要な期間(工期)だけ使用したいというニーズがより一層強くなると考えられる。建設機械の稼働状況がリアルタイムで取得可能になりつつあり、建設機械のシェアリングやサブスクリプション(定額制)形態での提供など、リース・割賦といった従来型のファイナンスにとどまらないサービスを、リース会社が提供していくことになるだろう。

(文=三井住友ファイナンス&リース執行役員建機営業部長・城庵卓実)

【関連記事】 建機メーカーが大注目する異色のレンタル会社
日刊工業新聞2020年7月23日

編集部のおすすめ