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建機レンタルで急成長、歯車が逆回転し倒産へ

PROEARTH、信用収縮が一定水準を超える怖さ象徴
建機レンタルで急成長、歯車が逆回転し倒産へ

写真はイメージ

 「師走の大型倒産」―。2017年12月26日に東京地裁へ民事再生法の適用を申請、負債額も150億円を超えたPROEARTH(神奈川県厚木市)。07年設立の建機・トラック販売、レンタル会社で、わずか10年で年商177億円に達する急成長を遂げたが、その倒産理由は急成長の過程そのものにあった。

 08年のリーマン・ショック後も続いていた建設不況下、同社がいち早く飛躍のきっかけをつかんだのはその積極的な営業スタイルにあったという。「ファイナンス&リースを活用して本来なら大型重機など買う体力のない中小・零細企業も次々に顧客としていった」(業界関係者)。

 解体用の特殊重機を多数保有、先駆的なビジネスモデルを駆使しつつ泥臭い営業もいとわぬ同社は東日本大震災や熊本地震で大手ゼネコンに重宝され、業界平均を大幅に上回る急成長企業の魅力に惹きつけられたメーカー販社や銀行なども争うように取引関係を深めていった。

 昨夏、突如として歯車の逆回転が始まる。支払いの遅延が始まったのだ。背景にあったのは東京国税局の調査。過去10年分の決算内容について見解の相違があり、最終的には多額の追徴課税に応じたが、この過程で金融機関が融資を絞ったのだという。

 10月には大口得意先が倒産して巨額の焦げ付きを出し、信用不安を決定的なものにした。もともと、急成長の陰で風評やうわさは非常に多く、結晶化し始めた信用不安が広まるのは早かった。

 倒産までの最後の2カ月、支払い遅延は常態化。本店不動産は売却され、代表自宅や車両、建機も担保として資金を調達するが追いつかず、12月25日、ついに決済不履行を起こした。

 多くの利害関係者がPROEARTHの成長を支えたが、信用の収縮が一定の水準を超えると逆回転の歯止めが利かなくなる怖さを改めて世に示した倒産だった。
(文=帝国データバンク情報部)
【会社概要】
(株)PROEARTH
住  所:神奈川県厚木市寿町1−6−14
代  表:松井義仁氏
資本金 :9000万円
年売上高:約177億1700万円(17年7月期)
負  債:約151億8500万円
日刊工業新聞2018年1月23日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
以前から循環取引、融通手形、多重リースなどの噂もあった。「多重リース問題」による倒産といえば、2015年のユタカ電機製作所などが思い浮かぶ。

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