デクセリアルズは２０日、耐久性を従来比４０倍以上に向上した反射防止フィルム「ＡＲフィルム　ＨＤシリーズ」を開発したと発表した。最表面の防汚層を真空蒸着法で形成する製法を導入した。既にサンプル出荷を始め、２０２１年春には量産体制を整える。

防汚層のフッ素系樹脂を気化し、基材の反射防止層に直接付着して層を形成するため、従来よりも緻密に防汚層を形成できる。表面処理や薄膜形成の技術も活用し、摺動耐久性を向上した。反射率０・５％以下、透過率９５％以上という光学特性は維持した。

従来はフッ素系樹脂を溶媒に溶かした防汚材を塗布した後、ヒーターで乾燥し溶媒を揮発して層を作るウェットコーティング法を採用していた。ノートパソコンで、指やスタイラスペンによる頻繁な動作に対応できる耐久性が求められている。軽量化に向け、カバーガラスを反射防止フィルムで代替したいという要望にも対応した。