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研究開発もSDGs視点で。エア・ウォーターが取り組む再生利用

研究開発もSDGs視点で。エア・ウォーターが取り組む再生利用

SDGsのプロジェクト会議に参画する開発部門の若手社員

全社で推進

エア・ウォーターは、持続可能な開発目標(SDGs)への貢献を目指し、全社的な推進体制を展開する。SDGs推進委員会が4月1日付で発足し、産業ガス関連やケミカル関連、医療関連、海水関連、農業・食品関連など各事業の担当者らが月1回集まる形のプロジェクト会議も立ち上がった。同社グループをあげてSDGsに取り組むことを示すポスターも作り、各事業所で掲示される。

SDGs視点でいち早く研究を進めてきた研究開発部門も、若手社員3人がプロジェクト会議に参加する。技術戦略センター産業・エネルギー・ガスオペレーション開発センター長の末長純也執行役員は「我々の研究活動の取り組みを見える化するためにも、研究成果をSDGsで掲げる各ゴールへ落とし込んでいく」とする。

食品かす活用

産業・エネルギー・ガスオペレーション開発センターでは、2018年9月から長野県安曇野市で、食品かすを原料にメタン発酵を行う実証プラントの試験を行う。同活動はSDGs目標の再生エネルギー拡大や廃棄物の再生利用に直結する。

同試験はグループの飲料メーカー、ゴールドパック(東京都品川区)のあずみ野工場から排出される、リンゴかすやコーヒーかすなどの再利用を目的に進められた。メタン発酵は食品廃棄物を微生物で分解し、バイオガスを生成、発電やボイラ燃料などで活用する。

試験運転するメタン発酵の実証プラント(長野県安曇野市)

実証プラントで得られた技術・運転ノウハウをベースに、21年度中にはメタン発酵の商用プラントを長野県内で立ち上げる計画だ。1日当たり廃棄物処理能力は現在の10倍の10トンと設定。メタン発酵で取り出したバイオガスで発電した電力は売電し、発酵かすは肥料にして販売する。原料収集はゴールドパックに加え、近隣農家の協力を得て農業・食品系廃棄物などを安定回収する体制を目指す。

CO2回収

同開発センターでは、SDGs目標の気候変動対策で、排出量削減が求められる二酸化炭素(CO2)関連技術の開発にも力を入れる。CO2回収設備の研究や、CO2を有効活用した「高純度CO発生装置」などを手がける。エア・ウォーター炭酸(東京都港区)はCO2を原料とするドライアイスの国内トップ企業で存在感を示し、別の関係会社ではビニールハウスで高濃度のCO2を用いて農作物の収穫を上げる試験なども展開される。

さまざまな産業ガスを扱うエア・ウォーターグループの技術・ノウハウは、SDGsに結びつく成果として着実に生かされている。

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