1時間単位の有給取得、男性でも2カ月の育児休暇。働きやすさに現場のアイデアを!
地方自治体向けシステム開発を手がけるジーシーシー(前橋市、松下弘明社長、027・263・1637)は、「全従業員の働きやすさ」をテーマに職場環境の整備を進めている。現場から吸い上げた意見を生かし、育児休暇の取得や時短勤務を後押しする制度として相次ぎ具体化。これらの制度の周知によりスキルを身につけた従業員が離職するのを防ぐ効果を引き出そうとしている。(古谷一樹)
ジーシーシーは約3年前、ワークライフバランスの推進に向けた取り組みを強化した。それまで部署ごとに実施していたことを一覧化し、「できること」「やるべきこと」を明確にした上で、あらためて環境の改善に乗り出した。
特に重視したのが「現場の要望やアイデアを基に、すべての従業員が使いやすい制度を作ること」(水野文雄総務部長)だった。例えば、育児支援では子育てと仕事を両立するために必要なことを従業員のニーズを吸い上げながら具体化した。
こうした取り組みの中で生まれた仕組みの一つが、1時間単位で有給を取得できる「時間単位有給制度」。それまでの制度は保育施設への子どもの送り迎えなど数時間の行動に利用する際にも、1日または半日の休暇を取得する必要があった。新制度の導入により数時間単位での有給休暇の取得が増加。2016年に66%だった有給休暇取得率は18年に73%まで向上した。
同制度をきっかけに独自の時短制度「育児短時間勤務制度」も発案された。育児・介護休業法に定められた育児短時間勤務の利用対象は「3歳未満の子どもを養育している従業員」なのに対し、同社は「小学校6年生の子ども」まで要件を緩和した。育児短時間勤務と時間単位有給の両制度を組み合わせて利用する従業員もいる。
また、制度の内容について詳細に解説した「ガイドブック」を作成。育児休暇取得を後押しする。社内のイントラネットで閲覧可能とすることで制度の周知を図り、休職前や復職前には対面による相談にも応じている。
こうした手厚いサポートは、男性従業員の意識にも大きな変化をもたらしている。数年前まで男性従業員の育児休暇の期間は5日―2週間程度だった。現在では2カ月程度の休暇を取得する人が出てきたほど大きく様変わりした。
働きやすい環境を整備するための試みは、育児休暇の後押しにとどまらない。メリハリのある働き方を促すため、それぞれの従業員が使う端末の画面上に残業可能な時間を明示する「残業タイマー」を設置。設定された残業時間を上限とし、その日あるいはその月にどの程度残業していいのかが一目で分かる仕組みとした。
水野部長は「今後も現場発のアイデアをどんどん取り入れていく」と強調する。新しい制度を導入しつつ運用面でも工夫と改善を続けることが、働きやすい職場環境の実現に向けた大きな推進力となっている。