新型コロナで問い合わせ殺到の「オンライン習い事」、講師不足が課題に
新型コロナウイルスによる感染症の拡大による学校の休校や幼稚園・保育園の休園を受け、オンライン英会話学習サービスを提供するレアジョブには登録者数や問い合わせが急増している。「学校が休校になったタイミングで、何か習い事をさせたいと考えた保護者が多いようだ」と中村岳社長は話す。ただ、急増のせいで講師数が足らなくなり、せっかくのニーズをつかみきれない課題もある。(取材・昆梓紗)
会員登録が急増
レアジョブは海外の英語教師とオンランレッスンを行う「レアジョブ英会話」を行い、大人だけでなく小中高生も受講している。また子ども専用のオンライン英会話「リップルキッズパーク」では、4歳~12歳に向けたプログラムを提供している。
新型コロナウイルス感染症による休校、休園が決定した3月より、両サービスの無料会員登録者数が急増。レアジョブ英会話の小中高生の無料会員数は前月比3.4倍、前年同期比3.5倍増加。リップルキッズパークでは前月比約2.1倍、前年同期比約2.6倍の増加となった。(※)
既存入会者でも、契約しているレッスン日以上にを受けられる「レッスンチケット」の購入が急増したり、「1カ月短期集中でレッスンしたい」というニーズが増加するなどの動きが見られた。
講師数不足
また、新規登録者数の急増により講師が足りなくなり、一時的に新規登録を制限せざるを得なくなった。リップルキッズパークでは子ども向けのレッスンに必要な素養をもつ講師を採用し、研修を行っている。オンラインレッスンでは子どもの集中力を保つことが対面授業以上に求められる。英語力だけでなく、楽しさを伝え、興味を引けるかどうかが重要だ。
同社ではフィリピンで講師を採用し、現在200名ほどが登録している。しかし新型コロナウイルス感染症の影響でフィリピンでもロックダウンが行われているため、急激な増員が難しい状況だという。
リップルキッズパークでは、小学校3~4年生が受講生のボリュームゾーンとなっている。週1~5のコースがあるが、オンラインレッスンならではの特徴として、家族で同時に受講したり、レッスン日を分け合ったりすることも可能だ。「オンラインレッスンに慣れるためにも、まずは保護者の方が子どもと一緒に受講することをおすすめしています。慣れればレッスン時間に自分からパソコンに向かう子も出てきます」(中村社長)。
今後はオンラインレッスンと、教室への通学といったオフラインを組み合わせたサービスも展開していきたいと中村社長は話す。オフラインでは学習意欲を高めるようなサポートも想定している。
今回急増した登録者を定着させるためには、十分な講師数・レッスン数の確保が必要不可欠だ。既存・新規の受講者が安定してレッスンの予約を取れる状態を担保し続けることを優先して取り組んでいくという。
(※)前月比は2020年2月1日~2020年2月8日、前比は2019年3月1日~2019年3月8日と比較したもの
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