【新型コロナ】IT各社が学校にデジタル教材を無償提供、教育デジタル化のきっかけに?
IT、教材無償提供
IT各社が新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて休校となった学校に、デジタル教材やコミュニケーションツールを無償提供する動きが広がっている。提供ツールでは、インターネットを通じ自宅のパソコンやタブレット端末で授業の録画映像の視聴やオンライン教材を用いた学習が可能。政府が推進する教育現場のデジタル化にもつながる動きとなる。(編集委員・水嶋真人)
【芸人と楽しく】
NTTコミュニケーションズ(NTTコム)は、400以上の学校で計20万人超が利用しているデジタル教材活用基盤「まなびポケット」を5月末まで無償提供中。先月末の無償提供開始から約1週間で学校や教育委員会からの問い合わせが200件以上あり、130件以上の申し込みがあった。利用ID数に換算すると約16万増えたという。
吉本興業ホールディングスやNTTが出資する教育コンテンツ配信サービス会社、ラフ&ピースマザー(東京都千代田区)は、吉本興業所属の芸人が出演して遊びながら学べる教育動画を、動画投稿サービス「ユーチューブ」で今月末まで無料公開している。
ソフトバンクは9日から4月末まで、臨時休校中の学校や学習塾に対し、オンラインレッスンサービス「スマートコーチ」を無償で提供する。児童・生徒が学習や部活動などスポーツの練習の様子を撮影した動画を送信すると、教職員やコーチが動作やフォームなどを動画上で添削し音声やテキストでアドバイスする。
KDDIは28日まで「ブックパス読み放題プラン」で提供している雑誌や小説、実用書などの電子書籍を無料で読めるようにする。au回線に契約していなくても利用可能。
【音楽と英単語】
楽天も休校中の学校や塾、英会話スクールに対し、児童向け英語教育サービス「楽天ABCマウス」を4月末まで無償提供する。パソコンやスマートフォン上で視聴できる絵本や音楽、パズルを通じて2000以上の英単語を学べる。
ドワンゴもオンライン学習動画配信サービス「バンタン・フリップ・チャンネル」をオンライン学習アプリケーション(応用ソフト)「N予備校」で無料開放した。特別生放送オンライン授業も9日から13日まで行う。
【LINE通じ】
LINEは休校中の学校に対し、法人向けアカウントサービス「LINE公式アカウント」を無償で利用できる「学校プラン」を9日から2021年3月末まで提供する。対話アプリ「LINE」を通じて学校から学生や保護者へ必要な情報を一斉に届けられる。
政府は20年度までに全ての小・中・高校と特別支援学校などに校内ネットワークを完備し、23年度までに児童・生徒1人当たりパソコン1台の配布を目指す「GIGAスクール構想」を打ち出している。今回のIT各社のデジタル教育サービスの無償提供は、同構想を進めるきっかけ作りとしての役割を果たすことになる。