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ホンダが「オデッセイ」を改造した搬送車、医療現場に提供へ

感染者が多い自治体に50台程度を納車

ホンダは新型コロナウイルスの感染拡大を受け医療現場などの支援に乗り出す。軽症の患者を搬送するため、運転席と後部座席の間に間仕切りを設けた車両を生産し、自治体に提供する。顔を飛沫(ひまつ)感染などから守る「フェースシールド」も5月末をめどに生産をはじめ、医療現場に無償で提供する。

搬送車はミニバン「オデッセイ」「ステップワゴン」などをベースに改造する。間仕切りを挟んだ前後の座席で空調を調整して圧力差を生じさせ、運転手への飛沫感染を防止する構造を採用する。狭山工場(埼玉県狭山市)をはじめ国内の事業所で生産する。13日に東京都港区と渋谷区に搬送車を提供した。今後は都内など感染者が多い自治体に50台程度の納車を予定する。

医療現場で不足するフェースシールドは鈴鹿製作所(三重県鈴鹿市)などで生産して提供する。人工呼吸器の製造では自動車の生産で培ったノウハウを活用した生産支援を視野に検討を続ける。

自動車業界では医療現場を支援する動きが相次ぐ。トヨタ自動車は愛知県の工場でフェースシールドの生産を予定し、サプライチェーン(供給網)を通じた衛生用品の調達支援に向けた取り組みなどを進める。日本自動車工業会など自動車関連4団体は、軽症患者の隔離施設として会員各社の寮や保養施設の活用を検討するほか、人工呼吸器の生産で改善支援などを進める意向を表明している。

日刊工業新聞2020年4月16日

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