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若い女性に人気だったアパレルが民事再生、最後に頼った資金調達も新型コロナでNGに

「マジェスティックレゴン」を展開するシティーヒル
若い女性に人気だったアパレルが民事再生、最後に頼った資金調達も新型コロナでNGに

「多店舗展開→不良在庫」が経営悪化パターン(写真はイメージ)

シティーヒルは、1986年4月に婦人ニット卸として創業、88年6月に法人改組。現在の主力事業であるレディースカジュアルウェアの小売りに参入したのは95年。初の直営店となる「マジェスティックレゴン」1号店を大阪に出店。女子大生やOLを中心に知名度を上げ、大型商業施設を中心に店舗網を拡大。複数のブランドを開設し、ピークとなる2015年には140店舗を超える直営店を展開するまでに成長した。16年2月期には年売上高約143億円を計上していた。

しかし、近年は実店舗から電子商取引(EC)へ購買チャネルの変化が急速に進んだことで店舗への投資資金の回収スパンが長くなってしまう。今までであれば数年で回収できた先行投資が10年たっても回収できない店舗が続出。多店舗展開型のビジネスモデルに亀裂が生じ始める。不採算店舗が徐々に増加した結果、在庫での利益調整を行っていくようになり、結果として在庫の過大計上に手を染めることとなった。多店舗展開と不良在庫というアパレル小売業者の経営悪化のパターンに陥ったのだ。

経営悪化が表面化したのは17年2月期。ここから3期連続赤字を計上したことで、ブランド価値の向上や価格見直し、仕入れの抑制など経営改革を行ったが奏功せず、19年6月には金融機関へリスケを要請。財務査定の結果、9億円内外の債務超過にまで転落してしまう。その後も消費税増税でしぼんだ消費マインドに、記録的な暖冬が業績悪化に拍車をかけた。高額商品が売れる冬は勝負の季節だったが、客足が戻ることはなかった。

最後に同社が頼ったのは外資系ファンドだった。しかし、ほぼ内諾が得られていた数億円の資金調達も、1月下旬から始まった新型コロナウイルスの感染拡大による経営環境の変化を理由に破談となる。新たな資金調達のすべもなく、客足は遠のき、万策が尽き、3月16日に民事再生法の適用を申請することとなった。

(帝国データバンク情報部)
日刊工業新聞2020年4月14日

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