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アパレルメーカーがiPhoneの魔力で倒産へ

DAQ、「ケース」の先行投資が重荷に。本業の強みで再生目指す
アパレルメーカーがiPhoneの魔力で倒産へ

「iPhone X」の発表会(アップル公式動画サイトより)

 アップル製スマートフォン(スマホ)「iPhone X」の発売され話題となっている。こうしたモデルチェンジに対応するため企業努力を続ける周辺業者もいる。

 7月31日に東京地裁へ民事再生法の適用を申請したDAQもそうした企業のひとつかもしれない。2000年に岐阜県で創業し、インターネット通販サイトなどで無地のTシャツを販売。スマホ用ケースの企画・販売も手がけていた。

 創業当初は、主にウェブデザインを手がけたが、その後、Tシャツなど衣料品の扱いを開始した。自社サイトや大手通販サイトで無地のTシャツを販売し、その売り上げは同業の中でトップクラスだったという。11年にはプロダクト事業部を開設、iPhone用ケースの企画・販売を開始。これに伴い売上高は順調に拡大し、アパレル事業の成長も相まって17年4月期に過去最高となる14億7500万円を計上していた。

 iPhone用ケースでは、10万円超の高額品も販売。デザイン性の高さが評価され、国内大手に加え、香港や米国など海外のセレクトショップでも販売された。しかし、このプロダクト事業の先行投資が財務を圧迫、債務超過に転落した。定期的に行われるiPhoneのモデルチェンジに対応するため、開発投資や在庫負担が重くのしかかった。売り上げが伸びる一方で、競合が厳しいケース販売事業を黒字化できず、資金繰りは悪化。金融機関による返済猶予やリストラなどで立て直しを図ったがうまくいかなかった。

 しかしながら、堅調なアパレル事業では利益を確保しているとみられ、スポンサーによる支援も見込まれている。倒産する中小企業のほとんどが破産処理を選択するなかで、再生を目指すことができるのは、こうした本業の強みがあればこそだろう。
(文=帝国データバンク情報部)

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<基本情報>
(株)DAQ(ダック)
住所:東京都千代田区神田練塀町3
代表:後藤鉄兵氏
資本金:2100万円
年売上高:約14億7500万円
    (17年4月期)
負債:約8億9200万円
日刊工業新聞2017年9月19日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
最近、毒りんごの効き目が増しているように感じているのだが。 <関連>アップルサプライヤーまたもや経営危機、半導体の英イマジネーションが身売り発表 http://newswitch.jp/p/10497

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