ニュースイッチ

新車販売で躍進した「カローラ」、トヨタの強さを占う試金石に

昨年度は登録車トップに、顧客層広がる
新車販売で躍進した「カローラ」、トヨタの強さを占う試金石に

若い世代もターゲットにした新型カローラ

日本自動車販売協会連合会(自販連)と全国軽自動車協会連合会(全軽協)によると、2019年度の車名別新車販売は軽自動車を含む全体でホンダの軽「N―BOX」が2位以下に7万台以上の差をつけ、3年連続のトップだった。登録車ではトヨタ自動車のセダン「カローラ」が首位を獲得した。全体6位で登録車首位のカローラは同21・1%増と伸び、11万4358台だった。19年9月に全面改良した新型車効果が大きい。カローラは1966年のデビュー以来、世界150以上の国・地域で累計4750万台越を販売したトヨタの看板車種の一つ。7年ぶりとなるフルモデルチェンジが、顧客層のすそ野を広げられた形だ。

日本の“大衆車”というイメージが定着しているカローラも12代目。大衆車という言葉は非常に重い意味を持ち、数多くの顧客に愛されるクルマだ。カローラの歴史を振り返ると「常にお客さまの期待を超える」ことを大切にしてきた。今回もこのコンセプトは不変で、プラスアルファの価値が随所にちりばめられている。

プラットフォーム(車台)は新たな設計思想「トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー(TNGA)」で開発した海外モデルと共通化し、開発・設計コストを抑えた。このため、全長や全幅が大きくなり、国内規格は従来の「5ナンバー」から「3ナンバー」に大型化した。

ただし、海外モデルの車格をそのまま持ってくるのではなく、日本の道路事情に合わせてコンパクトにした。デザインや走りの追求と取り回しの良さを両立するため、プラットフォームは共通化しつつ日本専用のボディー設計を採用した。

デザインは「直感的にかっこいい」と思ってもらえるように仕上げている。前照灯やフロントをスポーティーにするなど、外観の印象を一新した。カローラの顧客層は60歳以上がメーンだったが、30代や40代もターゲットにしている。

新型コロナウイルスの感染拡大により、世界中の自動車販売が不透明になる中でカローラはトヨタの強さを占う試金石となりそうだ。



<関連記事>
トヨタの世界戦略を支える強力な「日独連合企業」

編集部のおすすめ