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スーパーでも人気のカット野菜、加工業者倒産のきっかけはきざみネギだった!

JFC、主要得意先から失注。大型設備投資が負担に

JFCは1997年に創業、2003年9月に法人改組した野菜加工業者。同社は100円カップサラダや袋入りカット野菜用にキャベツやネギなどを加工し、スーパーマーケットや百貨店、外食チェーンなどに卸していた。徹底した品質管理で顧客からの信頼を獲得し、営業基盤を確立すると、高齢化世帯や単独世帯の増加、個食化の進展などを背景に受注を拡大。13年から15年には工場の新設、増設など大型設備投資を立て続けに行い、生産体制を整えると24時間で工場を操業させ、17年7月期には年売上高約46億100万円を計上していた。

しかし、これらの設備投資は失敗に終わる。同社が設備投資に傾注するなか、主要得意先からきざみネギの受注を失ったことで工場設備の稼働率が下がり、収益計画にも狂いが生じ始めた。

また同業他社との競争激化で受注単価の低下を余儀なくされ、一層利益水準は低迷する。積極的な設備投資によって借入金は増加。利息負担増加も相まって、17年7月期は年売上高がピークを記録する一方、多額の赤字を計上していた。

大型設備投資による借入金は約13億円近くまで増加し、リース取引も膨れ上がるなか、赤字を計上し、資金繰りも急速に悪化。18年には金融機関へリスケを要請し、中小企業再生支援協議会の支援のもとで経営改善を図ることとなった。

しかし、その後も経営が上向くことはなかった。18年7月期には、ついに年売上高約43億円と8期ぶりの減収を余儀なくされた。さらに17年から19年には大型台風や豪雨などの自然災害や天候不順により野菜は値上がりし、原材料価格が高騰したことで収益はさらに悪化していた。

同時期には長年、多額の支援をしていた提携先が破綻して1億円超の焦げ付きが発生し、2期連続赤字を余儀なくされてしまう。その後も業況は改善せず自力再建を断念し、20年1月6日に大阪地裁へ民事再生法の適用を申請することとなった。

(帝国データバンク情報部)
日刊工業新聞2020年3月3日

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