消費増税、意外と多い「価格転嫁しない」人たち

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キャッシュレス決済のポイント還元するコンビニも(写真はイメージ)
 消費税率の引き上げが10月に迫った。政府は中小企業の実情に配慮しつつ、増税分の適正な価格転嫁など新税率へのスムーズな移行を支援してほしい。

 日本商工会議所が全国の会議所の会員企業を対象に実施した調査によれば、消費増税後の価格転嫁が「できる」と見込んでいる企業は68・0%だった。これは前回の消費増税後に「転嫁できた」と回答した企業の割合を上回る。特にBツーB(企業間取引)企業では「できる」が76・4%、「一部できる」が16・8%で、「全くできない」は6・7%と少数だった。

 また増税後の価格設定については「一律2%引き上げる」が50・8%と最も多かった。一方で「事業全体で利益を確保」が18・2%、「一部の価格を据え置く」が23・0%など、柔軟な価格設定を考えている企業が少なくない。

 転嫁に関する悩みが比較的、少ないことの背景には、足元の景況が底堅いことや、増税幅が2ポイントで前回より小さいことがあるようだ。ただ増税分の価格転嫁は本来、できて当たり前。この数値が100%になるよう政府には細心の注意を願う。

 同じ調査では、増税と同時に導入する軽減税率制度について対策に着手している中小企業が約8割を占めた。ただ小規模な企業ほど着手していない比率が高まるという。

 中小企業の場合、食品を扱う業種かどうかや、売上高5000万円以下の簡易課税事業者では軽減税率の恩恵が見込みにくいことなど、企業によって影響の差が大きい。また10月に軽減税率が始まり、消費者向けの食品販売が混乱するかどうかを見極めたいなどというケースもあるだろう。さらに2023年予定のインボイス制度義務化までは、現行の伝票に基づく経理が認められるため、緊急性への認識が乏しい面もある。

 ただ今後の消費税率の動向や軽減対象の変化の可能性を考えれば、早い段階での対応が望ましい。政府はこうした中小企業の実情も踏まえつつ、情報提供と不適切事例の監視を万全にしてもらいたい。

日刊工業新聞2019年8月26日

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