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“かぼちゃの馬車”問題が暗い影、連鎖倒産に追い込まれた企業の悲劇

住宅建築のホーメストが自己破産
 ホーメストは、2006年9月に設立された。一般個人の注文住宅案件を主体に展開していたほか、相続対策や土地の有効活用提案を絡めたアパートやマンションの建築、入居希望者が集まって結成した組合が事業主となり建設するコーポラティブ住宅の建築工事も行っていた。これまで別業者が展開していた「ホーメスト」のブランドを引き継ぎ、不動産事業も行っていた。16年3月期には年売上高約13億8900万円を計上していた。

 そうしたなか、近年大きく受注を伸ばしていたのがシェアハウス事業「かぼちゃの馬車」を手がけていたスマートデイズ(東京都中央区)からの新築工事案件だった。これがホーメストの業績を押し上げ、倒産直前の18年3月期の年売上高は約24億6200万円まで伸長した。

 だが、さかのぼって17年秋以降、スマートデイズとスルガ銀行による不動産オーナーへの不正融資問題が徐々に表面化する。これにより、スマートデイズはシェアハウスオーナーに対する賃料の支払いができず、結果、同社は18年5月に破産手続き開始決定を受ける事態に発展した。

 この間、スマートデイズの紹介でシェアハウスを購入したオーナーが、ホーメストに対して建築工事代金の支払いを拒否する動きを見せ、資金繰りが悪化し始める。18年3月期に約2億1600万円の赤字を出し、大幅な債務超過に陥ってしまう。風評や金融環境も悪化し、スポンサーとの交渉も挫折。オーナーからの代金回収に向けた訴訟なども提起していたが、下請け会社への支払いにも支障を来す事態となり、事業継続を断念。同年11月27日に自己破産を申請した。実質的にはスマートデイズの連鎖倒産と言っていいだろう。同社の問題に端を発した投資用不動産業界の冷え込みは、建築請負業者に今も暗い影を落としている。(帝国データバンク情報部)

◇(株)ホーメスト
住所:東京都中央区銀座6―2―1
代表:八島睦氏
資本金:1億円
年売上高:約24億6200万円(18年3月期)
負債:約3億3700万円
日刊工業新聞2019年1月29日
葭本隆太
葭本隆太 Yoshimoto Ryuta デジタルメディア局DX編集部 ニュースイッチ編集長
アパート投資関連では、不動産投資大手のTATERUによる不正も明らかになりました。アパート投資への融資はますます厳しく、投資用不動産業界の冷え込みがきつくなることも予想され、建築請負業者の影響は拡大するかもしれません。

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