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関わった企業が相次いで倒産、“死に神”はなぜ入り込んできた?

エクストップテクノロジーの「放漫経営」
 2002年に設立したシステム開発業者のエクストップテクノロジーは、18年12月19日に破産手続き開始決定を受けた。業績は好調だった同社にいったい何が起きたのか。

 事業内容は、一般事業会社向け各種業務システムの設計から構築、運用保守、管理まで及ぶフルサービスの提供。創業者で前代表の永井敬一氏が培った人脈をもとに、大手システム開発業者の下請け業務を中心に手がけ、直近の18年2月期には年収入高約10億4100万円を計上していた。

 リーマン・ショック後は税金の分納や国の緊急融資制度などを利用し資金繰りを行っていた過去もあるが、徐々に需要は回復し拡大、受注増に伴う増員にも成功し、業績は飛躍的に伸長していった。

 この業容拡大に伴い資金繰りも好転しているはずだったが、内情はこれまでの税金の未払いや滞納は改善せず、利益はそれまでの債務の返済に充てられることなく消えていったようだ。こうした状況のなか、16年頃には給与や取引先への支払いも窮するようになり、高利の金融業者から借り入れを行うなど、自転車操業状態のなか内紛も発生していた。

 18年、混沌(こんとん)とする同社に手を差し伸べたのはとある企業X社。X社の代表はこれまで多くの企業再生を手がけ複数企業の経営経験がある一方で、関わった企業が相次いで倒産した過去がある人物だ。X社は8月に永井氏が所有する同社株(全体の68・9%)を購入。その後、立て直しを図ったようだが、株主変更に伴う社内混乱などから功を奏さず、今回の事態へと向かったようだ。

 今回の倒産の直接的な要因は放漫経営だろう。加えて同社は、創業社長の人脈をもとに成長していった反面、いわゆる「丼勘定」の部分も多くあり、その結果、問題のある人物の介入を許してしまったことも要因の一つとも言える。
(帝国データバンク情報部)

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◇エクストップテクノロジー(株)
住所:東京都渋谷区渋谷2―11―5
代表:小嶋晋平氏
資本金:4100万円
年売上高:約10億4100万円(18年2月期)
負債:約7億6200万円
日刊工業新聞2019年1月22日

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