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日本企業は“変革”に消極的?

企業のイノベーション創出、開発や改善活動に取り組む傾向
日本企業は“変革”に消極的?

日本企業はイノベーションに保守的(イメージ)

 産業能率大学総合研究所がまとめた「イノベーション創出に向けた人材マネジメント調査」によると、日本企業の多くは開発や改善活動でイノベーション創出に注力していることが分かった。商品・サービスで市場や業界構造の組み換えを起こす「変革型」のイノベーションには取り組めておらず、取り組んでも利益が出ていない傾向にあった。

 調査は過去3年間のイノベーションの創出状況を国内企業にアンケートし、変革型のほか、販路や商品・サービスのラインアップを拡充してイノベーションを起こす「開発型」、業務やプロセスを再構築した「改善型」の3群に分類、分析した。

 調査によると「業界構造や人々の生活を大きく変えるような製品・サービスを生み出した」との問いに「行っていない」と答えた企業は84・9%を占め、変革型のイノベーションに取り組めていない傾向にある。一方で「自社にとっての新製品・新サービスを継続的に市場導入した」との問いに「行っている」と答えたのは61・8%で開発型の傾向が見られた。さらに改善型の特徴である「現場の業務改善が行われた」のは76・0%の企業で「行っている」と回答したが、その半数程度は利益が出ておらず、改善型イノベーションに取り組んでも利益を享受できない企業が多い。

 そのほか変革型の傾向として経営トップが「世の中を変えること」を強く推進しているほか、顧客志向の強さや新しいことに取り組む種まき、ビジネスを着想・具現化する人材を確保できていることが分かった。
日刊工業新聞2018年11月7日

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