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小型EVの要に、パナソニックが出力倍増の駆動システム量産化へ

車室空間の拡大や走行距離の延長に役立つ
小型EVの要に、パナソニックが出力倍増の駆動システム量産化へ

モーター、インバーターなどを一体化した駆動システムの次期型

パナソニックは小型電動車向けにモーターやインバーターなどを一体化した次期型駆動システムを開発した。モーターの設計や冷却構造を最適化し、同社従来型比で出力を約2倍の18キロワットに高めた。部品点数を削減でき、車室空間の拡大や走行距離の延長などに役立つ。小型電気自動車(EV)を開発する完成車メーカーなどに提案し、2020年ごろの量産化を目指す。

次期型駆動システムはモーター、インバーター、DC(直流)/DCコンバーター、充電器を一体化したもので、48ボルトの電源電圧で駆動する。部品を個別に搭載する場合と比べて、車体を小型・軽量にできるのが特徴。モーターの効率や空冷式の冷却性能を高める設計を取り入れ、高出力化を実現した。

従来型は、今回の次期型と同等の出力を出すためにはモーターとインバーターを一体化したユニットをもう一つ搭載する必要がある。このため次期型は従来型を採用した場合と比較し、容量で50%減の10リットル、重量で35%減の29キログラムと大幅な小型・軽量を実現する。

パナソニックは小型電動車に必要な基幹部品をまとめて提案できるのが強みで、次期型も構成部品の一つとして提案する。2輪、4輪の電動車など幅広く提案していく。

パナソニックは30日に開幕した創業100周年を記念した自社展示会で、乗り物を使ったサービス化「MaaS(マース)」を意識し、従来型の駆動システムを搭載した自動運転の小型EV「SPACe―C(スペイシー)」を初披露した。人が乗るキャビンと走行を担う駆動部が分かれておりキャビンを交換することで多様な移動サービス用途で利用できる。21年以降の実用化を目指す。
日刊工業新聞2018年10月31日
中西孝樹
中西孝樹 Nakanishi Takaki ナカニシ自動車産業リサーチ 代表
自動運転の小型EV「SPACe―C(スペイシー)」に注目している。貨客混載の多様なパッケージとMaaSでの移動サービス用途に展開力があるだろう。パナソニックのxEVとMaaS事業の展開の方向性が見え始めてきた。ラストワンマイルMaaS市場での、多機能性を有するMaaS車両の提供で存在感を構築していく可能性がある。

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