ニュースイッチ

AIで配送最適化、日本郵便と目指す名古屋大発ベンチャー

オプティマインド、2023年度に売上高40億円へ
AIで配送最適化、日本郵便と目指す名古屋大発ベンチャー

物流最適化サービス「ルージア」を説明する松下社長

 名古屋大学発ベンチャーのオプティマインド(名古屋市中村区、松下健社長、052・485・8760)が、人工知能(AI)を用いたクラウド型の物流最適化サービスを開発している。車両の移動ルートなどを独自のアルゴリズムで割り出し、配送を効率化するサービスだ。まずは協業先の日本郵便と共同で実証を進めており、企業物流や乗り合い車両、移動販売車両向けなどに広く提案する。

 オプティマインドは2015年の設立で、松下社長は現役の大学院生。学部生の時から専攻してきた組み合わせ最適化技術や機械学習のノウハウを使い、配送を最適化する独自のアルゴリズムを開発している。具体的には「どの車両にどの荷物を割り当て、どの順に配送するのが最も効率的か」を、さまざまな条件から割り出すというものだ。

 事業が進展するきっかけとなったのが、18年2月に開かれた日本郵便のオープンイノベーションプログラムで最優秀賞を獲得したことだ。一部の郵便局で配送最適化の実証実験を行った結果、従来はベテラン社員の場合で14分、新人社員の場合は44分かかっていた配送経路の作成時間が、AIによって6分に縮まったという。

 5月には自動運転関連技術を開発する名大発ベンチャーのティアフォー(名古屋市中村区)、倉庫業の寺田倉庫(東京都品川区)からの出資も受けた。今後は物流分野でのサービス導入を拡大するほか、将来は自動運転車や飛行ロボット(ドローン)による移動の最適化にも取り組む。5年後の2023年度をめどに売上高40億円を目指している。
日刊工業新聞2018年8月15日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
トラック運転手をはじめ物流の担い手不足が社会課題になる中、配送最適化サービスのニーズは高まりそうだ。今後は荷物の配送に関わるデータを蓄積し、独自の配送地図プラットフォーム(基盤)の構築も目指す。オプティマインドの松下社長は「『ラストワンマイル』の移動を最適化し、効率を高めたい」と話す。

編集部のおすすめ