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日系商用車メーカーのHV戦略に個性

三菱ふそうは電動車に注力
日系商用車メーカーのHV戦略に個性

日野自動車の大型HVトラック「プロフィア・ハイブリッド」

日系商用車メーカーのハイブリッド車(HV)戦略に差が出てきた。三菱ふそうトラック・バスはHVトラックの開発を中止し、電動車両の開発に必要な経営資源を電気トラックに集中する。いすゞ自動車や日野自動車、UDトラックスは車型をまたいでHVを商品群に据える。電気トラックの開発に注力する姿勢は同じだが、電気トラックというゴールへの道筋で各社の違いが出る。

「HVには進まず、直接電動車に行く」。三菱ふそうのハートムット・シック社長は、電気トラック開発に投資を絞り込む姿勢を明確にする。商用車メーカー各社は小型HVトラックを商品群に持ち、大型トラックなどの車型にHVを追加することを検討するが、三菱ふそうはいち早くこの流れから抜けた。

三菱ふそうは小型電気トラックを改良した次世代型を2020年に投入する。親会社の独ダイムラーは大型電気トラックを21年から量産する方針だ。「中・大型はダイムラーと共通のプラットフォーム(車台)を使う」(シック社長)ため、同時期にも大型電気トラックを開発する体制が整うもよう。HVを「中間のステップ」(同)とし、スキップする。

一方、日野自は19年夏に大型HVトラックを発売する。日野自の遠藤真副社長は「HVで磨いた技術を他の電動車両に生かす」とHVを電動車両の中心に置く考えで、三菱ふそうとは真逆の対応をとる。いすゞも、大型などの他の車型のHV化を検討する。30年までに大型電気トラックの量産を目指すUDトラックスは「30年までのHV投入も視野にある」(高木起浩バイス・プレジデント)とする。

こうした動きについてKPMG FASの井口耕一パートナーは「走行距離の問題もあり、短距離は電気自動車(EV)や燃料電池車(FCV)、長距離はプラグインハイブリッド(PHV)を含むHVとなる」と分析する。
日刊工業新聞2018年8月2日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
三菱ふそうの動きが特に気になるところだが、電動化だけでなく、自動運転やコネクテッドなどの次世代技術に対応する必要がある。経営資源が限られる中で、HVを商品戦略上どう組み込むか、各社は頭を悩ます。 (日刊工業新聞社・尾内淳憲)

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