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デジタル空間上の居住権、外国人に付与検討

政府の狙いは観光?ビジネス?
デジタル空間上の居住権、外国人に付与検討

折り紙を体験する外国人観光客

 政府は、日本に関心を持つ外国人を対象にインターネット上の電子居住権を付与し、一定の便益を供与して観光客や投資を呼び込む「電子住民」制度を導入する検討に入った。電子住民に登録した外国人に対し、税制面での優遇措置などの便宜を図り“日本ファン”を増やす狙い。2020年の東京五輪・パラリンピックを見据え、詳細を詰めて同制度の導入を目指す。

 すでに東欧のIT先進国、エストニアが類似の制度「e―レジデンシー」を先行的に導入。ネット上で欧州連合(EU)域内での会社設立の手続きを完結できるなど、登録者には自国民に準じた行政サービスを提供している。安倍晋三首相も1月に同国を訪問し、電子住民として登録している。

 エストニアではEU内での起業や銀行口座の開設などが簡易になるとして電子住民の登録が拡大。IT分野を中心に会社設立が増えており、経済の活性化につながっている。

 日本政府はエストニアの制度を参考に制度設計を進める。国外に住む外国人に電子居住権を与えて便益を供与することで、日本に対する愛着や帰属意識を高めてもらう。各種イベントや観光地などの最新情報を発信して訪日客を増やしたり、税制優遇などで対日投資を呼び込んだりする狙いがある。

 政府は観光面で、20年度に訪日外国人旅行客を4000万人、同旅行者の消費額8兆円を目指している。また人口減に伴って内需が先細る懸念がある中、対日投資の促進を通じた需要創造などが求められている。

 他方、政府は電子住民となった外国人が海外で日本の良さを伝えるアンバサダーのような役割を担うことにも期待している。
(2018年6月20日 総合面)
梶原洵子
梶原洵子 Kajiwara Junko 編集局第二産業部 記者
政府の狙いが観光か、ビジネス誘致かによって、制度設計は変わるような気がします。デジタル関連のビジネス誘致に活用するなら、制度以外にビジネス開始前後、運営中に必要な諸々の手続きをデジタル空間上で完結できるインフラも必要です。言語や商慣習も関係するかもしれません。日本全体で制度以外はどこまで受け入れる準備ができているのか気になります。

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