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「日本製鉄」は躍進する中国・韓国勢にどう対抗するか

グループ鉄鋼事業の再編急ぐ
 新日鉄住金がグループの鉄鋼事業再編を急ぐ。3月には特殊鋼で国内売上高4位の山陽特殊製鋼の子会社化に向けた協議入りや、スウェーデンの大手特殊鋼メーカーの買収を発表。産業機械や建設機械、自動車などの分野で成長が見込める特殊鋼分野でも、グループ再編が今後進むとみられる。鉄鋼の成長市場が先進国から新興国へ移る中で、躍進する中国勢や韓国勢などの強豪に対抗するための事業基盤を築く狙いだ。

 新日鉄住金は鉄鋼生産量で世界4位(粗鋼ベース)に甘んじており、上位には中国の宝武鋼鉄集団などの新興勢力が名を連ねる。

 日新製鋼や新日鉄住金ステンレス(NSSC)と鋼板部門を統合するステンレス事業も、3社合わせた国内シェアは冷延薄板で推計およそ64%に達するものの、粗鋼生産量は年間180万トンと、世界の首位に立つ青山鋼鉄集団(中国)の800万トンに大きく水を開けられている。

 鉄鋼全体、ステンレスとも世界粗鋼生産量のほぼ半分を中国が占め、韓国勢やインド勢なども交えて激しいコスト競争を展開。この影響で日本の鉄鋼メーカー各社はここ数年、収益悪化に苦しんだ。

 自動車の電動化、軽量化などに伴う需要構造の変化も、待ったなしの課題だ。グループ各社の開発力や製造基盤を互いに生かせれば「自社より優れた生産技術を活用したり、世界初の商品を生み出したりできる」(NSSCの伊藤仁社長)。

 日新製鋼の完全子会社化、ステンレス鋼板事業の統合も、その実現に向けて意思決定を迅速化するための仕掛けと言える。
(文・宇田川智大)
日刊工業新聞2018年5月17日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
日本発の製鉄グループが持続的な成長に向け、世界市場でどれだけ優位に立てるかが注目される。 (日刊工業新聞者・宇田川智大)

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