ベイン日本代表の期待はどこから?WDはいずれは歩み寄ってくる

東芝メモリを「3年後をめどに上場させたい」

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東芝メモリ買収について今後の戦略を語るベインキャピタルの杉本日本代表マネージングディレクター
 東芝の半導体メモリー子会社「東芝メモリ」を買収する「日米韓連合」を主導する米ファンド・ベインキャピタルは5日、都内で記者会見を開いた。同社日本代表の杉本勇次氏は、東芝メモリの経営戦略について「(業界トップの)韓国サムスン電子とどう戦っていくかが最大の課題」と指摘。今後、数年間にわたり数千億円規模の投資を支援していく考えを示し、「3年後をめどに上場させたい」と語った。

 日米韓連合は9月28日、2兆円で東芝メモリを買収する契約を東芝と結んだ。杉本代表は5日の会見で「東芝メモリの現経営陣を存続させ、日本企業としての独立経営を支援したい」と基本方針を説明した。

 東芝メモリが手がけるNAND型フラッシュメモリーは従来のスマートフォン向けに加え、データセンター向け需要も拡大する見通し。業界トップのサムスンが、2位の東芝メモリ以下を突き放しにかかっている状態だ。

 巻き返しには先端の3D構造NANDメモリーの展開がカギで、杉本代表は「積極的な研究開発・設備投資を支援したい」と語った。

 日米韓連合は特別目的会社を通じて東芝メモリを買収する。当初から議決権を握る東芝とHOYA、ベインのほか韓国SKハイニックス、米アップルなど米企業4社も融資などで資金拠出する。サムスンに対抗するため、これらパートナー企業の支援も仰ぐ。

 アップルについて杉本代表は「最重要パートナーであり、安定的な供給先確保につながる。今後もしっかりお付き合いする」と語り、HOYAについては「製品開発で支援してもらえる部分があればお願いしたい」と話した。

 SKハイニックスとの関係は簡単ではない。同社はNANDメモリーのほかに東芝メモリが持っていない半導体メモリー「DRAM」も展開しており、「どの分野で協業を広げるか事業部レベルで突っ込んで話したい」(杉本代表)という。一方、業界では「ゆくゆくはSKは東芝メモリの経営権を握ろうとしているのではないか」(関係者)との指摘もあがる。

 売却手続きそのものが、滞ってしまうリスクも見逃せない。東芝とメモリー事業で提携する米ウエスタンデジタル(WD)が、東芝メモリ売却に反対し、国際仲裁裁判所に売却差し止めを申し立てているからだ。杉本代表は「対話を進めて和解したい。今後も協業を通じて共に成長を目指したい」と述べた。
                  

日刊工業新聞2017年10月6日

COMMENT

後藤信之
編集局第一産業部
デスク

WDは東芝メモリとの合弁を継続できないとビジネスで困難な状況に立たされるので、ベイン関係者はWDはいずれは歩み寄ってくるだろうとみています。問題はその時期です。東芝、WDのどちらが折れるか我慢くらべになっており、読み切れない展開が続きます。

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