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パナソニック、トップデザイナーを東京に集結。新事業の推進役に

部門横断の新組織立ち上げ。欧州にも拠点
パナソニック、トップデザイナーを東京に集結。新事業の推進役に

パナソニック公式

 パナソニックは国内外で、新しいブランドイメージや新事業の開発に取り組む。10月に社内のトップデザイナーを集めた新組織を国内で発足する。海外では2018年にも欧州拠点発の統一デザインを設定し、小物調理家電に採用。日本、アジア、中東など世界に展開する。製品、ブランド、ビジネスモデルに及ぶ領域に従来の枠を超える発想やアイデアを加え、競争力を高める。

 パナソニックは国内4部門から東京にトップデザイナーを集め、先行開発チームを10月に発足する。家電、住宅、BツーB(企業間)システム、車載・産業機器といった社内部門の事業領域にとらわれない、新しい製品・サービス、ビジネスモデルについて、デザインの視点からテーマを絞り検討する。

 家電を担当する社内カンパニーのアプライアンス社(AP社)が4月に東京に新設した若手のデザイナーチーム「フューチャー・ライフ・ファクトリー」とも連携する。他社や社外のデザイナーと積極的に連携し、アイデア段階の製品やサービスを早期に公開してユーザーの声を聞き、開発サイクルを早める。

 一方、世界展開する家電製品のデザイン統一は、小物調理家電の高級機種から始める。音響・映像(AV)機器や美容家電などほかの製品も同様の取り組みを検討する。

 このためAP社は4月から、英ロンドンのデザイン拠点に小物調理家電のデザイン権限を移管。日本からもデザイナーを派遣した。欧州と日本のデザイナーが協力し、欧州風デザインや海外から見た日本の良さなどを生かしたデザインを製作。製品だけでなくパッケージや店頭の展示手法なども対象とする。
日刊工業新聞2017年9月29日
川上景一
川上景一 Kawakami Keiichi JEITA 常務理事
パナソニックが社内のトップデザイナーを集め、「製品、ブランド、ビジネスモデルに及ぶ領域に従来の枠を超える発想やアイデアを加え」デザインの視点から検討する新組織を立ち上げる。IoTの時代には、既存のビジネスモデルの大変革が求められる。製品、ブランドに留まらず、ビジネスモデルをデザインから考えるというのは素晴らしい。10月3日に幕張メッセで開幕するCEATEC JAPAN 2017では、最終日の6日午後に、JEITAデザインフォーラム「IoT社会の“共創”におけるデザインの役割~テクノロジー×デザインが生み出す新たなイノベーション~」を開催する。経営に問われるのは、共創で目指す「社会課題の解決・人々の幸福」をビジネスモデルとしてどうデザインできるかだ。デザイナーの知恵と感性を活かして、答えを見出すことが求められている。

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