ソニーが新事業創出プログラムを欧州で展開
まずスウェーデンで拠点立ち上げ
ソニーは海外拠点で新規事業創出に乗り出す。第1弾として欧州を対象とする事業創出部門を、スウェーデンの拠点に立ち上げ、活動を始めた。日本とは異なる視点で、多様性を生かした新規事業の創出を狙う。今後は日本チームとの連携や、他の国への展開を進める予定。将来の事業の柱となる新事業の発掘を全世界で加速する。
ソニーは新規事業創出プログラム「シード・アクセラレーション・プログラム(SAP)」を2014年に日本で開始した。すでに電子マネー機能をもつ腕時計や小型電子タグなどを製品化している。この取り組みを海外にも広げる。
SAPは現場から事業化アイデアを吸い上げ、3カ月に1回実施する「SAPオーディション」で社内外の審査員が評価。合格したアイデアのみが事業化検証プロジェクトに移行する。事業化した案件は将来、売上高1000億円以上の規模に育てることを目指す。
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ソニーの新規事業プロジェクトから生まれた話題の「FES Watch(フェスウォッチ)」。メディアではソニーの凋落が叫ばれて久しいが、まだまだ新しいモノを生み出す人材も技術も、エネルギーも残っている。従来の社内プロセスからは絶対に世に出ることはなかったFES Watchはなぜ誕生したのか。FES Watchの<プロジェクトリーダーを務める杉上雄紀さんに聞いた。
ー杉上さんは2008年の入社ですよね。ソニーに憧れを抱く世代でもないと思うのですが、なぜソニーに入ろうと。
「まず、すごい個人的な話になってしまうんですけど、20歳の時に崖から落ちて9割即死という経験をしたんです。奇跡的に助かったんですが、今も膝とかに傷があります。せっかく生きているのだから、何か世の中に恩返しできることをしたいと思ったんです。医療とか福祉、環境とかも考えました。もともとエンターテイメントが好きで、入院していた時も『エンタメは大事だな~』と思ったり。新しく面白いことができるエンターテイメント、しかもモノづくりの会社ということでソニーに入りました。完全に第一志望です」
ー最初はテレビ事業部の配属ですね。ソニーのテレビ事業はずっと構造改革をやっていて、ポジティブに仕事はできましたか。
「たしかにテレビは業績が悪かったこともあって、何か変えないといけない、何か新しいことにチャレンジしないと、という雰囲気はありました。そういう意味でテレビは自分によい部署だったのかもしれない。最初にソニーに入る時、やっぱり新しくて面白い何かを自分で考えて、世に出すことをやりたいなと思っていて、いつかは自分で考えることをやりたいけども、まずはどうやってつくるかをちゃんと学びたいと」
「大学ではナノテクノロジーの研究をしていたんですけど、ソフトウエアの方がいろいろアイデアを形にしやすいと思って、ソフトウエアに関係する仕事を希望しました。テレビの配属になって、新しいアプリケーションを作る部署に入ったんです。『グーグルテレビ』でアンドロイドと組んだり、スマホとテレビをつなぐアプリの仕事もしていましたね」
ーソニーに限ったことではないですが大手企業になればなるほど、新しいことが実現しにくい社内システムや風土があります。例えばテレビをどのように変えたいと。
「結構いろいろ考えましたよ。まったく違うビジネスモデルで、もはやテレビとは呼べないようなものとか。それはあくまでアイデアベースで発展していったわけではありません」
「新人だった時にピュアに飲み会で事業本部長に話したりとか。アイデアを持っている社員はいっぱいて、考えられるし作ることもできるし、提案もできる。それが通るか通らないかはまた別問題です。ソニー以外で働いたことはないので、他社のことは分からないですけど、世の中、提案が全て受け入れられるわけでもないと思うので。テレビの部署に対しそんなにネガティブな感情をもったことはなかったですね」
ーFES Watchのアイデアはどのタイミングで思いついたんですか。
「中学生のころから、思いついたアイデアをずっとネタ帳に書いていました。ソニーに入ってからはパワポになり、自分のアイデアだけでなく、面白いと思った技術やアイデアをアレンジしたものも含めて300ページくらいになりました。FES Watchに繋がるアイデアを思い付いたのは、2012年の東京ゲームショーを見に行ったことがきっかけでした」
「一般のお客さんもすごく入っていてとても盛り上がっていた。そしてどのブースもビデオゲーム。何十年も前はトランプとかボードゲームとかもっとアナログだったんだろうな、とか思いながら。そこでゲームのデジタル化の波を一気に感じたんです」
<次のページ、「君たちのアイデアは面白い。そのままにしないから」(平井社長)>
ソニーは新規事業創出プログラム「シード・アクセラレーション・プログラム(SAP)」を2014年に日本で開始した。すでに電子マネー機能をもつ腕時計や小型電子タグなどを製品化している。この取り組みを海外にも広げる。
SAPは現場から事業化アイデアを吸い上げ、3カ月に1回実施する「SAPオーディション」で社内外の審査員が評価。合格したアイデアのみが事業化検証プロジェクトに移行する。事業化した案件は将来、売上高1000億円以上の規模に育てることを目指す。
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「FES Watch」はこうして生まれた!
ソニーの新規事業プロジェクトから生まれた話題の「FES Watch(フェスウォッチ)」。メディアではソニーの凋落が叫ばれて久しいが、まだまだ新しいモノを生み出す人材も技術も、エネルギーも残っている。従来の社内プロセスからは絶対に世に出ることはなかったFES Watchはなぜ誕生したのか。FES Watchの<プロジェクトリーダーを務める杉上雄紀さんに聞いた。
ー杉上さんは2008年の入社ですよね。ソニーに憧れを抱く世代でもないと思うのですが、なぜソニーに入ろうと。
「まず、すごい個人的な話になってしまうんですけど、20歳の時に崖から落ちて9割即死という経験をしたんです。奇跡的に助かったんですが、今も膝とかに傷があります。せっかく生きているのだから、何か世の中に恩返しできることをしたいと思ったんです。医療とか福祉、環境とかも考えました。もともとエンターテイメントが好きで、入院していた時も『エンタメは大事だな~』と思ったり。新しく面白いことができるエンターテイメント、しかもモノづくりの会社ということでソニーに入りました。完全に第一志望です」
新しく面白いものを作りたい!
ー最初はテレビ事業部の配属ですね。ソニーのテレビ事業はずっと構造改革をやっていて、ポジティブに仕事はできましたか。
「たしかにテレビは業績が悪かったこともあって、何か変えないといけない、何か新しいことにチャレンジしないと、という雰囲気はありました。そういう意味でテレビは自分によい部署だったのかもしれない。最初にソニーに入る時、やっぱり新しくて面白い何かを自分で考えて、世に出すことをやりたいなと思っていて、いつかは自分で考えることをやりたいけども、まずはどうやってつくるかをちゃんと学びたいと」
「大学ではナノテクノロジーの研究をしていたんですけど、ソフトウエアの方がいろいろアイデアを形にしやすいと思って、ソフトウエアに関係する仕事を希望しました。テレビの配属になって、新しいアプリケーションを作る部署に入ったんです。『グーグルテレビ』でアンドロイドと組んだり、スマホとテレビをつなぐアプリの仕事もしていましたね」
ーソニーに限ったことではないですが大手企業になればなるほど、新しいことが実現しにくい社内システムや風土があります。例えばテレビをどのように変えたいと。
「結構いろいろ考えましたよ。まったく違うビジネスモデルで、もはやテレビとは呼べないようなものとか。それはあくまでアイデアベースで発展していったわけではありません」
「新人だった時にピュアに飲み会で事業本部長に話したりとか。アイデアを持っている社員はいっぱいて、考えられるし作ることもできるし、提案もできる。それが通るか通らないかはまた別問題です。ソニー以外で働いたことはないので、他社のことは分からないですけど、世の中、提案が全て受け入れられるわけでもないと思うので。テレビの部署に対しそんなにネガティブな感情をもったことはなかったですね」
ファッションのデジタル化
ーFES Watchのアイデアはどのタイミングで思いついたんですか。
「中学生のころから、思いついたアイデアをずっとネタ帳に書いていました。ソニーに入ってからはパワポになり、自分のアイデアだけでなく、面白いと思った技術やアイデアをアレンジしたものも含めて300ページくらいになりました。FES Watchに繋がるアイデアを思い付いたのは、2012年の東京ゲームショーを見に行ったことがきっかけでした」
「一般のお客さんもすごく入っていてとても盛り上がっていた。そしてどのブースもビデオゲーム。何十年も前はトランプとかボードゲームとかもっとアナログだったんだろうな、とか思いながら。そこでゲームのデジタル化の波を一気に感じたんです」
<次のページ、「君たちのアイデアは面白い。そのままにしないから」(平井社長)>
日刊工業新聞2016年12月1日