「アマゾン・ロボティクス・チャレンジ」が初めて日本にやって来る!

7月で名古屋で開催

 米アマゾンは7月27日から30日にかけて名古屋で行われる「ロボカップ2017年名古屋世界大会」の会場で、日本で初めてとなるロボットコンテスト「アマゾン・ロボティクス・チャレンジ」を開催する。同コンテストは通算3回目で、今回は日本のほか豪州、ドイツ、インド、イスラエル、オランダ、シンガポール、スペイン、台湾、米国から16チームが出場する。各チームのロボットが商品を取り出して収納する試技を行い、一定時間内に取り出し・収納に成功した商品数により採点される。優勝チームは25万ドルの賞金を手にする。

 競技は物体認識や姿勢制御、把持計画、動作計画、作業計画などロボットのさまざまな要素を組み合わせて行う。

 日本から参加するのは、三菱電機、中部大学、中京大学による「MC^2」、奈良先端科学技術大学院大学、パナソニックによる「NAIST―Panasonic」、鳥取大学、東芝による「Team T2」、東京大学の「Team K」の計4チーム。

日刊工業新聞2017年5月12日



AI活用で仕分けの自動化は実現できるのか


 労働人口の減少と取り扱い荷物の増大を受け物流センターの自動化が進む。しかし、乱雑に置かれた個別商品のピッキング作業は技術面で難点が多く自動化されていない。そんな中、人工知能(AI)技術ベンチャー企業のプリファード・ネットワークス(PFN、東京都千代田区)が、米アマゾン・ドット・コム主催のピッキング競技会「アマゾンピッキングチャレンジ=用語参照」に参加し上位に入った。AI活用で仕分けの自動化は実現できるのか。

 PFNはAI技術の中でも機械学習とディープラーニング(深層学習)を得意とする。トヨタ自動車とカメラの画像から物体や人を認識する技術、ファナックとは産業用ロボットによるバラ積みされた物体をピッキングするシステムの技術などを共同で研究開発している。

 多忙な中で同競技会に挑戦した理由は、PFNの技術がどの位置にいるか知ることと、優秀な参加者にPFNをアピールすること。

 参加チームの1人である河合圭悟氏は「どの参加者も深層学習による画像認識を使っていた」と話す。その中で上位に入ったことは、的確に物質を認識するという部分で、深層学習を使いこなしていることを示す。個別ピッキング作業に必要な要素の一つはほぼ満たしたことになる。

 ピッキング作業にはほかにも不可欠な技術がある。特に物をつかむ手にあたるエンドエフェクターと、的確にロボットを自動で動かす制御技術だ。同じくチームの1人である松元叡一氏は「準備期間が短い中でもトラブルなく戦えた。長い準備期間があれば優勝も狙える」と強調する。

 細かい課題は多いと言うし、競技会の仕様がそのまま物流現場で使えるものではないが、タグやRFIDなどの周辺技術も活用した自動化の道筋はついてきているだろう。

 個別ピッキング作業のロボットによる自動化は国内でも三菱電機やベンチャー企業のMUJIN(文京区)などが取り組む。すでに一部で導入されたケースもあり、国内外で開発競争になりそうだ。
【用語】アマゾンピッキングチャレンジ=ピッキング作業におけるロボットの器用さを競う国際大会で2回目がドイツ・ライプチヒで6月29日から7月3日まで行われた。競技は二つ。46種類の商品が雑な形で棚に置かれている。人が介在しない自律制御のロボットが棚の中にある商品を取り出して箱に入れる「ピックタスク」、箱に入った12種の商品を雑に商品が入っている棚に収納する「ストウタスク」。PFNはピックで1位と同スコアの2位、ストウで4位になった。

PFNリサーチャー・松元叡一氏に聞く


 アマゾンピッキングチャレンジで苦労した点や、参加で得たものは何か。PFNリサーチャーの松元叡一氏に聞いた。

 ―技術で苦労したところは。
 「PFNが持つAIのノウハウを生かしつつも、こうしたピッキングは初めてだったので新しくAIを考えて実装した。2カ月半程度の短い時間で、46種類の物体を認識するために必要な画像データ取りと、AIに画像データから正しい判別の仕方と、どこにエンド部を当てれば良いかを教えるのは人手の作業で大変だった」

 ―取り出すためのエンドエフェクター作りも試行錯誤だったと聞きました。
 「PFNでエンドを作ったのは初めてで、ある意味楽しかったが、苦労のし通しだった。最初はロボット1台で全部つかめるように掃除機とパイプを組み合わせたエンドを考え、先端に蛇腹を着けるなどしていたが、どうしてもダンベルと金網のコップが取れずトング状のエンドを付けた2台目も追加した」

 ―参加しての手応えは。
 「狙い通り、PFNの技術を世界にアピールし知名度を上げられた。ピッキング作業のロボットによる自動化も近く実現するという可能性を得た。人間と同様にロボットも2個取ってしまうなどのミスはするし雑に置いてあると間違いもする。そこをリカバリーできる仕組みができれば実現するのではないか」

(聞き手=石橋弘彰)

日刊工業新聞2016年7月14日

明 豊

明 豊
05月12日
この記事のファシリテーター

去年も日本企業が参加し善戦しました。今回は地元開催。名古屋は2020年のワールドロボットサミット(政府主催)の開催地でもあり、盛り上がりと日本企業の活躍に期待したいところ。

この記事にコメントする

  

ファシリテーター紹介

記者・ファシリテーターへのメッセージ

この記事に関するご意見、ご感想
情報などをお寄せください。