トヨタが部品メーカーへの定期価格改定率を歴史的に低く抑え続ける意図

上期1%未満、昨年度下期並み。アベノミクスへ援護射撃

 トヨタ自動車は取引先部品メーカーに対し、2017年度上期(4月―9月)の部品価格の引き下げ幅について、16年度下期(16年10月―17年3月)と同等水準を要請した。取引先の業種や業績により価格改定の数値は異なるが、今回は大半が1%未満の要求で、赤字の会社などは値下げが免除される場合もある。トヨタはグローバル競争が激化する中、取引先と一体となって原価低減活動を継続し、競争力を強める。

 トヨタは1年に2回、取引先部品メーカーと価格改定を交渉している。今回の交渉について、愛知県内の部品メーカー幹部は16年度下期と“同等に抑えた”というトヨタの意向を踏まえて「同水準なら仕方がない」としている。

 自動車業界の競争環境は、自動運転や環境規制への対応、電気自動車(EV)の普及時期の早まり、IT企業の参入などもあり、激しさを増す。トヨタの研究開発費は14年度に初めて1兆円を超え、16年度は1兆700億円を見込む。設備投資も16年度は1兆3400億円(前年度比3・7%増)を計画し、新設計思想「TNGA」に対応した設備の導入などを進めている。

 研究開発費や設備投資が増加する流れは続く見通しで「競争力強化のため価格改定は継続することが必要」(トヨタ幹部)。16年度は連結営業利益の増益要因で「原価改善の努力」として4250億円を計画しており、17年度も取引先とともに原価低減を推進する。

 トヨタは経済の好循環を目指す政府の姿勢に寄り添い、14年度下期と15年度上期は2期連続で部品価格の引き下げを一律で見送る異例の措置を講じた。15年度下期には価格改定を再開し、16年度下期からは部品価格の引き下げ幅をわずかながら拡大している。
                      

日刊工業新聞2017年4月19日

中西 孝樹

中西 孝樹
04月20日
この記事のファシリテーター

 円高影響を受けた16年度のトヨタ業績は大幅に悪化する中で、トヨタは定期価格改定を低水準に抑えてきた。続く17年度も、米国事業採算悪化や原材料価格上昇が厳しく、収益見通しは非常に厳しいはずだろう。
 それにもかかわらず、定期価格改定率を歴史的に低く抑え続ける意図には、経済を牽引する自動車産業の競争力の恩恵を産業裾野まで波及させることがある事は間違いないだろう。アベノミクスへ援護射撃である。
 ただ、原価を適切につくり込む原価低減の手綱を緩めるという意味ではない。この領域では、年間3000億円の原価低減を生み出す力は継続され、同社の国際競争力の源泉であり続けることに変化はない。

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