有機EL市場を左右するキヤノントッキ、蒸着装置を2倍に増産

キヤノングループにユニットの生産を一部委託

 キヤノントッキ(新潟県見附市、津上晃寿会長兼最高経営責任者)は、有機エレクトロ・ルミネッセンス(EL)パネル製造向け真空蒸着装置の年産能力を引き上げる。2017年の生産台数は、16年比2倍の10台超になるとみられる。グループの拠点を活用し能力を上げる。

 同社は有機ELパネル向け蒸着装置で市場をほぼ独占しており、16年度に増産体制を敷いたばかり。スマートフォンへの有機EL採用をにらみ、一層の増産対応で優位性を高める。

 増産に向けて、グループのキヤノンマシナリー(滋賀県草津市)やキヤノンアネルバ(川崎市麻生区)に、ユニット生産の一部を委ねる。これまではキヤノントッキが自社で部品生産から組み立てまでを完結していた。キヤノントッキの主力生産拠点の平塚事業所(神奈川県平塚市)で人員を増やし、組み立て能力を上げる。

 これに伴い真空蒸着装置の生産方式を標準化する。これまでは受注に応じて個別に生産していた。標準化によって分散生産しやすくするとともに、生産リードタイムも従来比3割以上の短縮を目指す。

 有機ELは17年に米アップルがスマホ「iPhone(アイフォーン)」の一部モデルへの採用を検討。これによって販売が一気に増えるとみられる。スマホ向け有機ELパネルは、現時点では韓国サムスンディスプレイのみが量産している。

 ただ米アップルなどの要請を受け、韓国LGディスプレイやジャパンディスプレイも量産開発をしている。中国の大手パネルメーカーも参入をもくろんでおり、アジア企業を中心に設備投資が活発化している。

 キヤノントッキでは今後3年程度は装置市場が堅調に推移するとみている。今後も需給状況に合わせて増産対応を続ける方針だ。

日刊工業新聞2017年3月22日

政年 佐貴惠

政年 佐貴惠
03月22日
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キヤノントッキの有機ELフィーバーが止まらない。サムスンはもちろん、他のパネルメーカーからの引き合いも順調だという。トッキは業績が苦戦していた時期もあっただけに、この好況をとらえてできるだけ伸ばし、次の手を打てる所まで持っていきたい所。しかし大規模な設備投資をすれば市況の変化に耐えられない可能性もある。そこでキヤノングループの資産を活用する。キヤノン本体がBtoBシフトを進めていることも追い風だろう。今後もさらなる増産体制を適宜整えるとのことで、トッキの生産能力が高まればスマホへの有機ELパネル採用の流れも強まりそうだ。

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