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装備品調達の情報管理、防衛省が米国基準に引き上げ

来年度に素案、中小・下請けにも徹底
装備品調達の情報管理、防衛省が米国基準に引き上げ

F35Aステルス戦闘機

 防衛省は、防衛装備品調達における情報セキュリティー体制を強化する。中国・ファーウェイ(華為技術)製通信機器の政府調達禁止など、米国のセキュリティー強化の動きに沿った措置。2019年度早々に米国基準に合わせた情報セキュリティー基準の素案を策定し、企業側に説明する予定。周知徹底を図ると同時に、どこまでを注意レベルの情報にするかなどを決める。技術情報の管理に詳しい部外コンサルタントも活用しつつ、必要な作業を急ぐ。

 米国はステルス戦闘機などの重要軍事技術が中国に盗まれたとみなし、輸出管理改革法や外国投資リスク審査近代化法などを通じて最先端技術の保護に乗り出している。欧州諸国も同様の先端技術情報の漏えい防止強化に動いている。

 この動きに日本が乗り遅れると、米国が重要装備品や先端兵器を日本に渡すのに難色を示し、調達が不可能になったり、スケジュールが遅れたりする可能性が高まり、防衛計画に狂いが生じる。米国メーカーと日本企業の技術交流にも支障が出る。部外コンサルタントの技術的・専門的アドバイスを得て現在よりも厳しい情報セキュリティー基準を作り、中小や下請けも含む関連企業へ徹底させる。

 具体的な対策としては、マル秘扱い文書の規定に加え、画面を開く際のパスワードやカギを二重化、三重化して容易に情報を閲覧できないようにしたり、メールサーバーにも物理的保護を設けたりする。実際の運用場面では、下請けや中小から「この情報は何レベル扱いか」などの質問が多く出ると予想され、コンサルタントと共同で回答できる体制を整える。

 すでに関連の官民勉強会も立ち上げており、勉強会やマッチングイベントなどを通じて周知を図る。人工知能(AI)など新しい産業領域に関しては「経済産業省などと必要に応じ連携する」(防衛省)方針だ。
日刊工業新聞2019年1月18日

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