東大の不正論文、16件の改ざん・ねつ造認定。まだ明らかにすべきこと
再発防止策のコストを明示すべき
東京大学科学研究行動規範委員会は1日、分子細胞生物学研究所の渡邊嘉典教授と丹野悠司元助教の論文5本について、不正行為があったとの調査の結果を発表した。実験が行われていないにも関わらず実験を行ったかのような結果を示したグラフや、不適切な画像の加工など16件について、改ざんやねつ造の不正を認定した。医学系研究科の論文に関しては、不正はないとした。
調査結果について渡邊教授は、画像の加工などの行為については認めているが、ねつ造や改ざんには当たらないとしており、委員会の調査結果と食い違う部分がある。
同大理事・副学長の福田裕穂氏は「研究不正の再発防止に取り組んできたが、ルール作りが甘かった。責任は重く、真摯(しんし)に受け止め、二度と起きないようなルールづくりを進める」と述べた。
渡邊教授の処分は、他の論文についての追加調査を実施後、責任の所在を明らかにした上で決定する。
「再発防止策は東大の信頼を回復するために必要な〝投資〟」と福田裕穂副学長は説明されました。その〝投資〟の財源はどこから集めるのか、旧加藤研の研究不正事案を受けて整えた不正対策にさらに上積みする策は残っているのか、いずれも会見では説明されませんでした。
今回の渡邊研は旧加藤研と同じ分生研です。分生研が新たに提案している再発防止策では不正対策室に専属の人員を複数名雇って体制を強化するそうです。
この費用を企業との共同研究費に求めることは難しいと思います。運営費交付金や競争的資金の間接経費から捻出するなら公的資金を当てることになります。
<続きはコメント欄で>
調査結果について渡邊教授は、画像の加工などの行為については認めているが、ねつ造や改ざんには当たらないとしており、委員会の調査結果と食い違う部分がある。
同大理事・副学長の福田裕穂氏は「研究不正の再発防止に取り組んできたが、ルール作りが甘かった。責任は重く、真摯(しんし)に受け止め、二度と起きないようなルールづくりを進める」と述べた。
渡邊教授の処分は、他の論文についての追加調査を実施後、責任の所在を明らかにした上で決定する。
ファシリテーター・小寺貴之
「再発防止策は東大の信頼を回復するために必要な〝投資〟」と福田裕穂副学長は説明されました。その〝投資〟の財源はどこから集めるのか、旧加藤研の研究不正事案を受けて整えた不正対策にさらに上積みする策は残っているのか、いずれも会見では説明されませんでした。
今回の渡邊研は旧加藤研と同じ分生研です。分生研が新たに提案している再発防止策では不正対策室に専属の人員を複数名雇って体制を強化するそうです。
この費用を企業との共同研究費に求めることは難しいと思います。運営費交付金や競争的資金の間接経費から捻出するなら公的資金を当てることになります。
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日刊工業新聞2017年8月2日