<今日開催!>農業が進化する「×Any」を探そう!ロボット、クラウド、そして・・
<ニュースイッチ Event Speaker紹介>エムスクエア・ラボ 加藤百合子×富士通 若林毅(観覧自由)
<Discovery 加藤百合子>
よりおいしく、多くを収穫するための品種改良では世界トップとも言える日本の農業。しかし、農家が経済的に安定していい農作物をつくり、消費者が価値を知って食べるという仕組みづくりはできていない。食生活の多様化や安価な輸入食品、腐りにくい便利な加工食品の増加で、日本の農業は苦境に立たされている。エムスクエア・ラボ(静岡県菊川市)代表取締役の加藤百合子は新しい流通システムづくりを皮切りに農業の諸問題に挑んでいる。
【1人の限界】
環境意識を持ちつつも、興味の赴くままに、軽やかにさまざまなことに挑戦してきた。森林破壊や温暖化など環境問題が恐ろしく感じ、東京大学理科二類から農学部に進んだ。少しでも森林を守ろうと、裏紙で作ったメモ帳を使ってもみたが、1人の力では何も変わらない。力のなさを感じる中、4年時に取り組んだ農業ロボットでモノづくりに開眼した。次に海外生活がしたくなり、英国クランフィールド大学修士課程へ。さらに米国に渡り、米国航空宇宙局(NASA)の植物工場プロジェクトに参加した。
現在の夫とともに帰国し、精密機械メーカーに勤めた。1年後に結婚すると、夫の親族が経営する会社で世界一のカム開発に力を注いだ。転機は2人目の子どもが産まれたころ。「母親らしい仕事がしたい」と思い立ち、原点の「環境」に戻り静岡大学で農業ビジネスを学んだ。
【農家との出会い】
この時に初めて農家の人たちと出会った。これまで接してきたロボット・機械分野の常識とは違い、農業は契約書もなく、先端技術も入ってないことにショックを受けた。「できることからやろう」。最初は人脈もない中で静岡県の事業として2年間県内の農家を回り、「他の産業との交流や情報発信が必要だ」と説き続けた。
農家の共通の課題は「もっとうまく売れないのか」ということ。そこで農家が何をいつどれだけ収穫するかと、購入者が何をいつどれだけ必要なのかという双方の情報をつなぎ、マッチングする流通形態「ベジプロバイダー」を始めた。
相手は「農作物がどう作られたか」の価値をわかって買ってくれるレストランなどが主体。農作物は栽培期間が長いため、当初は買い手の欲しい農作物を聞いてマッチングしようとしてもそろわないこともあった。
【コツをつかむ】
1―2年するとコツがつかめてきた。何が欲しいか言われる前に「こんな農作物がありますよ」と先回りして伝えて選んでもらうことで、「言われたものが用意できないことがなくなってきた」。その時に一番いい状態の農作物を紹介するため、レストランでは料理に使う野菜などが季節によって変わる。レストラン側も野菜でリピーターが増え、いい循環が始まっている。
成果が見えてきた一方、やりたいことは尽きない。ベジプロでは毎日の出荷量が違う中でどう物流を効率化するか。さらにベジプロがどうすればうまくいくかをマニュアル化し、全国各地域の人が展開できるようにする。また山形県鶴岡市で出会った農家のように自家採種した種を使い、地域に合う農作物を育てる。「農家によって味の違う野菜は魅力になる」と目を輝かせる。
食育にも意欲がある。最近では脳に必要な栄養素を含む食品を訴求するキャラクターマークをつくった。「今はレストランの力を借りて食品のことを伝えているが、いずれ消費者への直接販売して伝えたい」と話す。
将来はベジプロの全国展開に加え、個人的な夢は「モノづくりの人の地位を上げたい」とさらに大きい。いろいろな出会いからやるべきと思ったことを何でもやってみることが、新しい可能性を生んでいる。(敬称略)(文=梶原淳子、日刊工業新聞2014年08月25日付)
<Discovery 食・農クラウド「Akisai」>
富士通は2012年7月、Akisaiを発表した。食・農クラウド「Akisai」(秋彩)は、豊かな食の未来にICTで貢献することをコンセプトとして、企業的農業経営の実現を強力にサポートする農業ソリューションである。この名の由来は、実りの“秋”、果樹・野菜などの“彩り”をイメージしたという。
農業という生産現場におけるICT活用を起点に、流通や地域、そして消費者をバリューチェーンで結んだサービスを展開しようというもので、そのサービスとは、露地(屋外の田畑)栽培やハウスなどの施設栽培そして畜産までをもカバーし、生産から経営・販売まで、もはや「企業的な農業経営」を支援するクラウドサービスとなっている。
<プロフィール>
若林 毅(わかばやし・たけし)
富士通イノベーションビジネス本部ソーシャルイノベーションビジネス統括部シニアディレクター
1983年 富士通株式会社に入社、金融業界向けソリューションビジネス推進に従事、2007年に社長直下のサーバー戦略プロジェクトに参画、以降、クラウド戦略企画などを担当し、2011年よりソーシャルイノベーション事業の推進に従事。
[主な社外委員]
内閣府科学技術会議「地域資源戦略会議」
農林水産省「スマート農業の実現に向けた研究会」
農林水産省「情報工学との連携戦略検討会」
農林水産省「知の集積と活用の場の構築に向けた検討会」
※Akisaiプロジェクトの詳細はITソリューション企業総覧2014でご覧下さい。
http://nikkanbookstore.net/nkit14/?p=475
<ニュースイッチ Special Events>
ニュースイッチでは日刊工業新聞社主催のスマートコミュニティJapan2015(6月17~19日)で特設ブースを設け、連日、ホットなテーマのトークイベントや講演会を行います。展示会に来て頂ければ、どなたでも自由に無料観覧できます。加藤さんと若林さんのトークセッションは18日(12:45-14:15)
農業革命を担うイノベーター対談「農業×ロボット×クラウドの未来」
エムスクエア・ラボ代表 加藤百合子さん
×
富士通 イノベーション推進本部SVP「Akisai」プロジェクト統括 若林毅氏
モデレーター 日刊工業新聞編集委員兼ニュースイッチ担当部長 明豊
閲覧希望の方は、事前に下記のページからスマートコミュニティJapan2015の来場登録をお願いします。http://www.nikkan.co.jp/eve/smart/ichiran.html
当日でも現地で来場登録は可能ですが、事前に行われた方がスムーズに入場できます。
またニュースイッチ特別ステージは椅子席を約50席ほどご用意しておりますが、早くお越しになった方から自由にお座りになれます(立ち見も可能)。会場ではニュースイッチのファシリテーターや登壇者とお時間の許す範囲でコミュニケーションをとって頂ければと思っております。
よりおいしく、多くを収穫するための品種改良では世界トップとも言える日本の農業。しかし、農家が経済的に安定していい農作物をつくり、消費者が価値を知って食べるという仕組みづくりはできていない。食生活の多様化や安価な輸入食品、腐りにくい便利な加工食品の増加で、日本の農業は苦境に立たされている。エムスクエア・ラボ(静岡県菊川市)代表取締役の加藤百合子は新しい流通システムづくりを皮切りに農業の諸問題に挑んでいる。
【1人の限界】
環境意識を持ちつつも、興味の赴くままに、軽やかにさまざまなことに挑戦してきた。森林破壊や温暖化など環境問題が恐ろしく感じ、東京大学理科二類から農学部に進んだ。少しでも森林を守ろうと、裏紙で作ったメモ帳を使ってもみたが、1人の力では何も変わらない。力のなさを感じる中、4年時に取り組んだ農業ロボットでモノづくりに開眼した。次に海外生活がしたくなり、英国クランフィールド大学修士課程へ。さらに米国に渡り、米国航空宇宙局(NASA)の植物工場プロジェクトに参加した。
現在の夫とともに帰国し、精密機械メーカーに勤めた。1年後に結婚すると、夫の親族が経営する会社で世界一のカム開発に力を注いだ。転機は2人目の子どもが産まれたころ。「母親らしい仕事がしたい」と思い立ち、原点の「環境」に戻り静岡大学で農業ビジネスを学んだ。
【農家との出会い】
この時に初めて農家の人たちと出会った。これまで接してきたロボット・機械分野の常識とは違い、農業は契約書もなく、先端技術も入ってないことにショックを受けた。「できることからやろう」。最初は人脈もない中で静岡県の事業として2年間県内の農家を回り、「他の産業との交流や情報発信が必要だ」と説き続けた。
農家の共通の課題は「もっとうまく売れないのか」ということ。そこで農家が何をいつどれだけ収穫するかと、購入者が何をいつどれだけ必要なのかという双方の情報をつなぎ、マッチングする流通形態「ベジプロバイダー」を始めた。
相手は「農作物がどう作られたか」の価値をわかって買ってくれるレストランなどが主体。農作物は栽培期間が長いため、当初は買い手の欲しい農作物を聞いてマッチングしようとしてもそろわないこともあった。
【コツをつかむ】
1―2年するとコツがつかめてきた。何が欲しいか言われる前に「こんな農作物がありますよ」と先回りして伝えて選んでもらうことで、「言われたものが用意できないことがなくなってきた」。その時に一番いい状態の農作物を紹介するため、レストランでは料理に使う野菜などが季節によって変わる。レストラン側も野菜でリピーターが増え、いい循環が始まっている。
成果が見えてきた一方、やりたいことは尽きない。ベジプロでは毎日の出荷量が違う中でどう物流を効率化するか。さらにベジプロがどうすればうまくいくかをマニュアル化し、全国各地域の人が展開できるようにする。また山形県鶴岡市で出会った農家のように自家採種した種を使い、地域に合う農作物を育てる。「農家によって味の違う野菜は魅力になる」と目を輝かせる。
食育にも意欲がある。最近では脳に必要な栄養素を含む食品を訴求するキャラクターマークをつくった。「今はレストランの力を借りて食品のことを伝えているが、いずれ消費者への直接販売して伝えたい」と話す。
将来はベジプロの全国展開に加え、個人的な夢は「モノづくりの人の地位を上げたい」とさらに大きい。いろいろな出会いからやるべきと思ったことを何でもやってみることが、新しい可能性を生んでいる。(敬称略)(文=梶原淳子、日刊工業新聞2014年08月25日付)
<Discovery 食・農クラウド「Akisai」>
富士通は2012年7月、Akisaiを発表した。食・農クラウド「Akisai」(秋彩)は、豊かな食の未来にICTで貢献することをコンセプトとして、企業的農業経営の実現を強力にサポートする農業ソリューションである。この名の由来は、実りの“秋”、果樹・野菜などの“彩り”をイメージしたという。
農業という生産現場におけるICT活用を起点に、流通や地域、そして消費者をバリューチェーンで結んだサービスを展開しようというもので、そのサービスとは、露地(屋外の田畑)栽培やハウスなどの施設栽培そして畜産までをもカバーし、生産から経営・販売まで、もはや「企業的な農業経営」を支援するクラウドサービスとなっている。
<プロフィール>
若林 毅(わかばやし・たけし)
富士通イノベーションビジネス本部ソーシャルイノベーションビジネス統括部シニアディレクター
1983年 富士通株式会社に入社、金融業界向けソリューションビジネス推進に従事、2007年に社長直下のサーバー戦略プロジェクトに参画、以降、クラウド戦略企画などを担当し、2011年よりソーシャルイノベーション事業の推進に従事。
[主な社外委員]
内閣府科学技術会議「地域資源戦略会議」
農林水産省「スマート農業の実現に向けた研究会」
農林水産省「情報工学との連携戦略検討会」
農林水産省「知の集積と活用の場の構築に向けた検討会」
※Akisaiプロジェクトの詳細はITソリューション企業総覧2014でご覧下さい。
http://nikkanbookstore.net/nkit14/?p=475
<ニュースイッチ Special Events>
ニュースイッチでは日刊工業新聞社主催のスマートコミュニティJapan2015(6月17~19日)で特設ブースを設け、連日、ホットなテーマのトークイベントや講演会を行います。展示会に来て頂ければ、どなたでも自由に無料観覧できます。加藤さんと若林さんのトークセッションは18日(12:45-14:15)
農業革命を担うイノベーター対談「農業×ロボット×クラウドの未来」
エムスクエア・ラボ代表 加藤百合子さん
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富士通 イノベーション推進本部SVP「Akisai」プロジェクト統括 若林毅氏
モデレーター 日刊工業新聞編集委員兼ニュースイッチ担当部長 明豊
閲覧希望の方は、事前に下記のページからスマートコミュニティJapan2015の来場登録をお願いします。http://www.nikkan.co.jp/eve/smart/ichiran.html
当日でも現地で来場登録は可能ですが、事前に行われた方がスムーズに入場できます。
またニュースイッチ特別ステージは椅子席を約50席ほどご用意しておりますが、早くお越しになった方から自由にお座りになれます(立ち見も可能)。会場ではニュースイッチのファシリテーターや登壇者とお時間の許す範囲でコミュニケーションをとって頂ければと思っております。