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「デジタルフロント」の一部社員向け、富士通が自己株報酬制度

AI人材確保へ、業績達成水準に合わせて株式付与
「デジタルフロント」の一部社員向け、富士通が自己株報酬制度

FUJITSU JOURNALより

 富士通は30―40代の一部社員向けに、自己株式を活用した報酬制度を導入する。人工知能(AI)やIoT(モノのインターネット)などを駆使しイノベーションをけん引する部門の社員が対象。3カ年程度の業績判定期間と目標を設定し、業績達成水準に合わせて株式を付与する。評価基準や適用条件を定め、2017年度中の実現を目指す。新報酬制度で、世界的に競争が激しいAIなどの分野の人材を獲得する。

 対象とするのは、AIやIoTによってビジネスのデジタル革新を推進する部署「デジタルフロント」の一部社員。大手企業が役員以外に自己株式を活用したインセンティブ制度を導入するのは珍しい。

 同社は取締役、執行役員、常務理事を対象に、業績連動型の株式報酬制度「パフォーマンス・シェア」の導入を6月に決めた。パフォーマンス・シェアでは3カ年の中期目標を各自に設定し、各年度ごとの達成度合いから算定した株式を3年後に付与する。

 デジタルフロントの社員に導入する新報酬制度も、このパフォーマンス・シェアと同様の考え方で設計する予定。通常の給与に加え、株式を活用した報酬が上乗せされる。

 付与する株式はパフォーマンス・シェアと同じく、富士電機との株式持ち合い解消の際に取得した130億円分の自己株式を活用する。同部署を「出島」として先行的に新報酬制度を始め、優秀な人材が最大限に能力発揮できる仕組みを根付かせる考えだ。

 同部署は1月に発足し、30―40代を中心に210人が配属。第1陣として6月下旬からシステム技術者(SE)やソフトウエアの開発者ら60人が研修に入った。3年後には総勢1200人体制を計画する。
                 
日刊工業新聞2017年7月11日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
実力主義の海外企業は必要な人材を外部調達して、適時入れ替えるのが一般的となっている。米グーグルや米マイクロソフトなどの大手外資系は日本で学生を青田買いしたり、優秀な人材を一本釣りしたりする。一方、国内大手は外部調達よりも人材育成に重点を置く。素養のある若手人材の確保が急務となっている。 (日刊工業新聞第一産業部・斎藤実)

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