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炭素繊維・アモルファス合金のせん断技術で日独連合

垣堺精機など、再利用を促進
炭素繊維・アモルファス合金のせん断技術で日独連合

現状ではリボン状のためプレス加工が難しいアモルファス合金

 垣堺精機(埼玉県小鹿野町、垣堺正男社長)は、ドイツの企業群や研究所と共同で炭素繊維強化プラスチック(CFRP)やアモルファス合金のせん断技術開発に乗り出した。CFRPはせん断することで路盤強化材などへのリサイクルを目指す。アモルファス合金ではプレスで打ち抜き加工できるようにして、モーターコアなどの製造コスト低減を目指す。

 いずれも最終的には、軽量化やモーターの効率向上で自動車の環境性能向上につなげる。一般に、CFRPは鋼材を代替することで車体を軽量化できるが、炭素繊維は廃車後にリサイクルしにくいことがネックとなっている。

 「細かくせん断できれば、CFRPから樹脂を溶かして分離し、リサイクルできる。いちばん効果的なのが道路。アスファルトに混ぜれば路盤が丈夫になる」(垣堺社長)ことをバイエルン州の新素材産業クラスターに提案した。

 同社によると「ドイツにはそういう発想がまったくなく、今は炭素繊維をハサミで切っている状況」(同)なことから共同研究に至った。

 一方、アモルファス合金では、プレスせん断によって大量に打ち抜くことで、モーターコアの製造コストを大幅に引き下げる。

 「熱損失の小さいアモルファス合金で電気自動車(EV)用にモーターコアをつくれば、消費電力を大幅に削減できる」(同)ため、EVの航続距離を延ばすことを目的に、金属材料などを専門とするバイエルン州内の公的研究所と共同研究することで合意した。
日刊工業新聞2017年7月7日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
せん断する刃や金型の材質は、いずれもセラミックス製とし、長岡技術科学大学と共同開発する。「当社が炭素繊維とアモルファスの両方を取り扱っていたので、セラミックスを使えるという発想になった」(垣堺社長)としており、異なる二つの素材を同じ技術でせん断できるようにする。 (日刊工業新聞川越支局長・大橋修)

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