太陽光パネルをホットナイフで樹脂とガラスに分離
エヌ・ピー・シー、難易度高い分解技術を確立
テーブル上を移動してきた太陽光パネルがゲートを通過すると黒いシートがはがれ、白っぽい板があらわになる。シートは黒い太陽電池セルを包んだ樹脂、板はガラスだ。エヌ・ピー・シーが技術開発中の「ホットナイフ」と呼ぶ刃物がゲートに取り付けられており、野菜の皮をむくように樹脂をガラスから分離した。
エヌ・ピー・シーは1992年設立の太陽電池製造装置メーカー。14年に太陽光パネルのリサイクル技術開発に着手した。企画情報部の瀧本崇部長は「パネルはリサイクルを想定して設計されている訳ではない」と難しさを語る。わずかな水分の浸入も防ぐために、シリコン製の太陽電池セルは樹脂で完全密閉されている。さらに樹脂はガラスと密着し、パネルの周囲はアルミニウムフレームで固定されている。
頑丈に作られているため、廃棄後のパネルの解体は難しい。特に金属と樹脂、金属とガラスとの分離は難易度が高く、素材別に再利用ができていない。現状では粉々に砕き、埋め立てるしか処分方法がない。
環境省は40年に80万トンの太陽光パネルの廃棄が発生すると試算する。パネルに換算すると5000万枚だ。リサイクル技術がないと将来、埋め立て処分場の不足が予想される。
そこでエヌ・ピー・シーは新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の研究プロジェクトに参加し、パネルを分解する技術を確立した。まずパネルを上下から押さえて固定し、フレームを両脇からはがす。「太陽電池製造装置のハンドリング技術を使い、ガラスを割らずにフレームだけを取り外す」(瀧本部長)という。
次が、樹脂とガラスの分離だ。刃物を200度C以上に熱した「ホットナイフ」を樹脂とガラスの間に当てる。熱によって樹脂が軟らかくなり、ガラスからはがれやすくなる。
ガラスは製品に再利用できる純度まで樹脂を取り除ける。はがした樹脂も精練すると、銀や銅などの金属を回収して売却できる。
処理コストの目標達成が見え、NEDOのプロジェクトは最終段階に突入した。リサイクル業の浜田(大阪府高槻市)と廃棄パネルをリサイクル処理する合弁会社も設立済み。20年以降に事業が本格化すると見通す。
瀧本部長は「装置だけでなく、回収から再資源化までのスキームを販売する事業も視野に入れたい」と意気込む。太陽電池を作る装置で会社が成長し、リサイクル事業でさらなる発展を目指す。
エヌ・ピー・シーは1992年設立の太陽電池製造装置メーカー。14年に太陽光パネルのリサイクル技術開発に着手した。企画情報部の瀧本崇部長は「パネルはリサイクルを想定して設計されている訳ではない」と難しさを語る。わずかな水分の浸入も防ぐために、シリコン製の太陽電池セルは樹脂で完全密閉されている。さらに樹脂はガラスと密着し、パネルの周囲はアルミニウムフレームで固定されている。
素材の分離、難易度は高く
頑丈に作られているため、廃棄後のパネルの解体は難しい。特に金属と樹脂、金属とガラスとの分離は難易度が高く、素材別に再利用ができていない。現状では粉々に砕き、埋め立てるしか処分方法がない。
環境省は40年に80万トンの太陽光パネルの廃棄が発生すると試算する。パネルに換算すると5000万枚だ。リサイクル技術がないと将来、埋め立て処分場の不足が予想される。
そこでエヌ・ピー・シーは新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の研究プロジェクトに参加し、パネルを分解する技術を確立した。まずパネルを上下から押さえて固定し、フレームを両脇からはがす。「太陽電池製造装置のハンドリング技術を使い、ガラスを割らずにフレームだけを取り外す」(瀧本部長)という。
次が、樹脂とガラスの分離だ。刃物を200度C以上に熱した「ホットナイフ」を樹脂とガラスの間に当てる。熱によって樹脂が軟らかくなり、ガラスからはがれやすくなる。
計画は最終段階へ
ガラスは製品に再利用できる純度まで樹脂を取り除ける。はがした樹脂も精練すると、銀や銅などの金属を回収して売却できる。
処理コストの目標達成が見え、NEDOのプロジェクトは最終段階に突入した。リサイクル業の浜田(大阪府高槻市)と廃棄パネルをリサイクル処理する合弁会社も設立済み。20年以降に事業が本格化すると見通す。
瀧本部長は「装置だけでなく、回収から再資源化までのスキームを販売する事業も視野に入れたい」と意気込む。太陽電池を作る装置で会社が成長し、リサイクル事業でさらなる発展を目指す。
日刊工業新聞2017年7月4日 5:00