普通なら再利用されない廃棄物、なぜ世界中でリサイクル事業になるのか?

テラサイクルCEOインタビュー「再生プラスチックが広告塔になる」

トム・ザッキーCEO
 米リサイクル企業のテラサイクルは、普通なら再利用されない廃棄物を再生する仕組みを大企業に提供するビジネスモデルで成長している。2001年の設立後、たばこの吸い殻、化粧品容器、歯ブラシなどを商品に変え、20カ国以上で事業展開するまでになった。日本にもリサイクルのベンチャー企業は多いが、成長に時間がかかっている。成長を続けるテラサイクルのトム・ザッキーCEOに事業戦略を聞いた。

 ―海岸に漂着したプラスチックゴミを回収し、シャンプーなどの商品容器へ再生する事業をP&Gと始めました。進捗は。
 「1月に発表し、今は欧米、中国など約20カ国で漂着ゴミを回収する大規模事業となった。日本でも3月から始めた。九州の離島の漂着ゴミを粉砕・洗浄し、ボトルに加工してP&Gが商品にしている。日本のどこでも我々がゴミの送料を負担する」

 ―再生材は高コストになると思います。なぜ、事業として成り立つのでしょうか。
 「再生プラスチックが広告塔になるからだ。消費者は漂着ゴミが生まれ変わった商品を購入することで、海の環境保全に貢献できる。環境のために何かしたいと思う市民は多いが、実際に行動するとなるとエネルギーがかかる。それが毎日の買い物なら、少ない労力でも環境問題の解決にかかわれる」

 ―再生材の使用が、店頭で製品を選ぶ基準になるということですか。
 「消費者には商品の購入に、環境問題解決に貢献するという目的が加わる。企業には再生材の採用が商品価値を高めるブランディングになる。我々は再生材を“ストーリープラスチック”と呼び、廃棄物を意味のある商品に変えるリサイクル技術を研究している」

 ―リサイクルベンチャーが成功するには。
 「思うように成長しないベンチャーは、研究・開発に徹しすぎているからだ。消費者に興味を持ってもらえる方法や回収量を増やす手段を考えるべきだ」

 ―次にリサイクルする廃棄物は何ですか。
 「18年は紙おむつ、生理用品、チューイングガムの再生を始める。ガムは添加物を抜き、プラスチック原料の一つにする」

【記者の目】
 高度なリサイクル技術であっても、市場ニーズと合致せずに事業化されないことが多い。補助金がないことを事業化断念の理由にする場合もある。テラサイクルや同社のリサイクル技術を利用する企業は、再生材を使った商品が競争で優位になる市場も自ら作っている。“ストーリー”を練れば、日本のリサイクル企業も海外展開の機会が生まれるだろう。
(聞き手=松木喬)

日刊工業新聞2017年5月23日

COMMENT

松木喬
編集局第二産業部
編集委員

 大学生まれのリサイクルベンチャーが海外20カ国で事業展開しています。日本では海外進出しているリサイクル業者はまれでしょうか。テラサイクルのリサイクルプログラムは、ライオンなど日本企業も利用しています。日本のリサイクル企業にはチャンスがないのでしょうか。

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