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政府、MRJを「技術検証機」として活用へ

「MRJの次の国産機」の開発後押し
政府、MRJを「技術検証機」として活用へ

MRJの最終組み立て工場(三菱重工業提供)

 政府は国産小型ジェット旅客機「MRJ」を国内で開発された装備品や部品の技術検証用プラットフォーム(テストベッド)として利用できる環境を整える。「MRJ」の開発完了後に利用を始める。MRJは国産だが、エンジンをはじめ構成部品の約7割が海外製。国産ジェット旅客機を保有する強みを生かし、航空機産業全体の技術力を底上げし、次期完成機事業の競争力強化につなげる。

 航空機の価値のうち、装備品の比率は4割程度を占めるが、国内の「ティア1」と呼ばれる1次サプライヤーは限られる。実際の航空機に試験的に搭載して実証するインフラを整え、部品や装備品産業の国内開発を加速させる。

 MRJは三菱重工業と三菱航空機(愛知県豊山町)が開発しており、量産初号機の納入時期は5回の延期を経て2020年半ばを予定する。政府はMRJを含む今後の完成機事業については安全性審査を的確に行いつつ、トップセールスなどにより受注を後押しする方針だ。

 完成機事業は単一機種だけでなく、投資・回収時期をずらしながら、派生プログラムを継続して保持することが求められる。

 一つのモデルで20年間以上継続する事業であり、部品や装備品企業も長期の供給責任を負う。

 一方で、すそ野が広く付加価値の高い産業で、地方経済への波及効果も大きい。官民連携で完成機事業を継続する体制を整え、産業基盤を発展させる。
日刊工業新聞2017年6月26日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
 装備品などの実証用にMRJを活用するとのことですが、これでは装備品産業の育成には不十分だと考えます。航空機産業の場合、すでにボーイングとエアバスという2大巨頭が存在していて、その他の航空機(中国ARJ21やC919、ロシア機MS-21、MRJ含む)に搭載される装備品は、ボーイングやエアバスに搭載実績のある欧米メーカーのものがほとんどです。ボーイングやエアバスへの納入実績がモノを言う世界なのです。よって、この2社に認められるサプライヤーをひとつでもふたつでも増やすことが先決ではないでしょうか。国産旅客機だけに国産装備品が搭載されても、市場性は小さいでしょう。

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