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利用対象家庭は380万世帯、ドコモ「ペトコ」の存在感

ニッチから“日本のAIスピーカー”の座を狙う
利用対象家庭は380万世帯、ドコモ「ペトコ」の存在感

北欧のデザイナーによる円すい状の外観の対話機器「ペトコ」。子どもを持つ共働き家族向けに普及を目指す

 米アマゾン・ドット・コムの「エコー」や米グーグルの「グーグルホーム」など人工知能(AI)の音声認識機能付きスピーカーが世界的に注目される。日本でもこうした「AIスピーカー」が席巻するとの見方もある。そんな中、NTTドコモとフォーティーズ(東京都港区)は家庭用音声対話機器「ペトコ」を8月にも発売する。子どもを持つ共働き家族をおもな利用層に想定し、存在感を出す。


 北欧のデザイナーによる円すい状の外観の対話機器「ペトコ」。子どもを持つ共働き家族向けに普及を目指す

 「まずはターゲットを絞り、そこに受け入れられることを目指す」。NTTドコモの油川雄司移動機開発部イノベーション推進担当担当部長はペトコ開発の狙いをこう示す。

 AIスピーカーや対話ロボットなど家庭内コミュニケーションに役立つ機器が続々と登場する中で、普及していくにはどうしたら良いか。まずニッチな分野でもしっかりと受け入れられれば、大きな広がりへの土台となる。ペトコはその戦略を採った形だ。

 ペトコは北欧のデザイナーによる円すい状の外観で、顔などになるリアプロジェクターの画面とカメラ、スピーカー、マイクなどを持つ。

 対話は音声のみに絞った。リアプロはペトコのさまざまな表情や、ビデオチャット相手の映像を映し出す。「ペトコとの対話というより、ペトコを介した人と人との対話」(村上圭一NTTドコモ移動機開発部第二イノベーション推進担当主査)がコンセプトで、使えない子どもがいるキーボードやタッチパネルは避けた。

 対象を明確にしたことで、拡張性は持たせつつも機能は簡素に仕上げ、低コスト生産につなげられた。Wi―Fiでインターネットに接続。宅外にいるスマートフォンを持った家族と、テキスト、静止画、動画を使ったメッセージのやりとりやビデオチャットができる。

 「在宅時間がまちまちな共働き家族の溝を埋める」(川添貴之フォーティーズ社長)ものだ。社内でも対話できるよう、スマホにテキストを入れるとペトコが話す、といった機能を盛り込んだ。

 ペトコ自体も、利用者を顔認識機能で7人まで覚えられ、登録者に合わせた簡単な雑談や、誕生日、記念日には「おめでとう」と話しかけることもできる。

 ニュースや天気も教えられる。また直接ペトコと対話しなくても、家族だけだと少なくなる会話も、ロボットやペットがいることで豊かになる、といった効果も期待できる。

 音声は合成音声。NTTドコモの「自然対話プラットフォーム」技術を使った。「ハイ、ペトコ」と話しかけるとペトコが反応。会話調で指示できる。
(文=石橋弘彰)
日刊工業新聞2017年6月23日
石橋弘彰
石橋弘彰 Ishibashi Hiroaki 第一産業部
ニッチとはいえ、ペトコの利用対象となる家庭は380万世帯。その1割が普及の目標で、まずは10万世帯を獲得したいという。ペトコは家電操作や温度・湿度などセンサーとの連携、対話によるゲームなど機能の広がりも可能で、一人暮らし、法人利用など幅広い利用も期待できるという。

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