東芝、決算確定なく株主総会へ。取締役の選任を諮ってよいのか

8月に2部降格、上場廃止の懸念も拭えず

  • 1
  • 0
東芝の綱川社長
 東芝は23日、6月末が提出期限となっている2017年3月期の有価証券報告書について、期限の延長を関東財務局に申請したと発表した。延長が認められた場合の次の期限は8月10日に延びる。これを受け、東京証券取引所は、8月1日付で東芝の上場市場を東証1部から2部に変更する。

 記者会見した綱川智社長は3月末の債務超過額が従来予想の5400億円から5816億円に拡大する見通しだと明らかにした。有価証券報告書の延期申請は、四半期ベースを含め、不正会計が発覚した15年3月期以降で5度目。延期は、米原発子会社ウェスチングハウス(WH)の巨額損失の認識時期をめぐる監査協議が終わらず、決算確定が遅れているため。

 監査法人のPwCあらたとは見解の対立が続いているが、協議を継続し、新しい有報提出期限までに「適正意見」の獲得を目指すという。

 東証は有価証券報告書に基づき、上場市場を判断する。報告書は遅れているが、東芝が提出した財務書類の「貸借対照表」で、「3月末の債務超過を確認した」として、2部降格を決めた。来年3月末までに債務超過を解消できなければ、上場廃止となる。

 また綱川社長は会見で、半導体メモリー事業売却の優先交渉先として、政府系ファンドの産業革新機構などによる買収連合を選んだことについて「総合的な要素で決めた」とし、28日に最終合意を目指すという。

同じ道をたどったシャープは1部復帰申請


 2007年以降に2部降格になった企業をみると、債務超過がほとんどだ。電機大手ではシャープも昨年に降格している。ただシャープについては先日、東証が上場廃止の猶予期間入り銘柄から解除。シャープが関東財務局に提出した2017年3月期の有価証券報告書で、同社が3月末時点で連結ベースの債務超過を解消したことが確認できたため。今月中にも1部への復帰を申請する予定。

 東芝とシャープは創業100年以上の歴史を誇る名門。2007年に両社は液晶パネルと半導体分野で戦略提携を発表している。

 当時の東芝の西田厚聡社長とシャープの片山幹雄社長が華々しく記者会見を開き、「強いもの同士が組んでいくのは必然」と語っている。

 シャープは台湾・鴻海精密工業の傘下で復活の兆しを見え始め、東芝は稼ぎ頭の半導体メモリー事業の売却を決めた。わずか10年の間に電機業界の栄枯盛衰がはっきり表れた格好だ。
               


 

COMMENT

安東泰志
ニューホライズンキャピタル
会長

 今回は2部に降格とのことだが、上場廃止基準は、「監査報告書又は四半期レビュー報告書を添付した有価証券報告書又は四半期報告書を法定提出期限の経過後1か月以内に提出しない場合(有価証券報告書等の提出期限延長の承認を得た場合には、当該承認を得た期間の経過後8日目(休業日を除外する。)までに提出しない場合)」だ。本来なら7月末で上場廃止なのだが、今回の延長から8日以内に提出できなければ上場廃止となる。そもそも株主総会で、1年間の経営成績を表わす決算も示さずに取締役の選任を諮るのは、筋違いではないか。

関連する記事はこちら

特集