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関電、高浜4号機再起動。気まぐれな司法に国はどう向き合うか

関電、高浜4号機再起動。気まぐれな司法に国はどう向き合うか

関西電力高浜原発4号機の中央制御室で、原子炉から制御棒を引き抜くレバーを操作し、再稼働させる運転員(代表撮影)

 関西電力は17日17時に、高浜原子力発電所4号機(福井県高浜町)の原子炉を起動した。18日に核分裂が安定する臨界に達し、順調にいけば22日に発電を開始、電気出力を上昇させ6月中旬に営業運転を予定する。4号機はウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料を使うプルサーマル発電となる。

 関電は「原子炉起動は運転再開の重要なステップ。引き続き安全最優先で緊張感を持ち、慎重に作業を進めていく」とコメントした。

 大阪商工会議所の尾崎裕会頭も17日、「再稼働で電力料金が低下し、中小企業などの経営環境が改善することを期待する」とのコメントを出した。また地元の福井県経済団体連合会の川田達男会長は「嶺南経済の活性化に期待している」と述べた。
日刊工業新聞2017年5月18日
永里善彦
永里善彦 Nagasato Yoshihiko
 司法判断に振り回された関電の高浜4号機のプルサーマル発電原子炉がようやく再起動した。原発再稼働にあたり、原子力規制委員会による原発の安全審査とは別に、原発の運転差し止め訴訟や仮処分申請が出された場合、司法が個々に判断するため、地域により判断が揺れる。このような状態では原発再稼働のための「国民的合意形成」が得られるはずがない。  この点に関し国は成行きに任せているので、今後、再稼働を望む全国各地の原発で運転差し止めを求める訴訟や仮処分申請が相次ぐ可能性を秘めている。国は、2030年電源構成比で20~22%を原発にするというだけで、そこに至るロードマップを示し、再稼働に向けての「国民的合意形成」の道筋を示せないようでは、気まぐれな司法に国のエネルギー政策が振り回されることになる。

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