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IoT向け無線通信で地滑りの予兆検知。ドコモと防災科研が商用化へ

2020年めど、熊本県内を中心に実証
IoT向け無線通信で地滑りの予兆検知。ドコモと防災科研が商用化へ

熊本県西原村の実証ではセンサーを搭載した杭を山の斜面に設置し、その状態データを収集

 NTTドコモは防災科学技術研究所(防災科研)と連携し、IoT(モノのインターネット)向け無線通信を活用した低価格な地滑り予兆検知システムを2020年をめどに商用化する。山間部斜面に設置したセンサーと通信機能を備えた杭からデータを収集・解析し、地滑りの予兆を検知する。16年の熊本地震後も土砂崩れの懸念がある熊本県内を中心に実証を進める。IoTに適した通信の活用を拡大する。

 山間部の斜面に加速度センサーと通信機能を備えた杭を設置し低コストでデータを送れる無線通信方式「LPWA」(ロー・パワー・ワイド・エリア=用語参照)による通信で、センサーから取得したデータを中継装置に飛ばし、そこから携帯電話網を使ってクラウド上に収集・蓄積。そのデータを活用し、予兆検知できるアルゴリズムを開発する。地滑りの予兆検知は実用化されていない。

 予兆データはクラウド経由で自治体やインフラ会社などに提供する。商用化時は杭の単価を大幅に下げ、多くのデータを集められるようにする。サービスにより異なるが、初期費用は数十万円から、利用料金は年数百万円からを想定する。

 すでに熊本県西原村で熊本高等専門学校と地滑り監視を実証し、斜面の状態データを検証。今後は熊本県内を中心にデータを取得し、地滑りとの相関関係をモデル化する。

 携帯大手はLPWAを活用した実証を相次ぎ始めている。ドコモは農業やインフラ、小売りなどで推進する。KDDIは浸水監視などで着手し、ソフトバンクは静岡県藤枝市とスマートシティー(次世代環境都市)の構築で協業する。
日刊工業新聞2017年5月1日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役ブランドコミュニケーション担当
LPWAは多数の機器に小容量データを伝送するIoT向けの通信方式。通信速度は携帯電話網より遅いが消費電力が少なく、低コストで長距離通信を実現する。規格は、免許が不要な周波数帯域でLPWA通信ができる「LoRa(ローラ)」、免許が必要な周波数帯域で携帯基地局をインフラに使える「NB―IoT」などがある。

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