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ウエスタンデジタルが「NO!」、東芝のメモリー事業移管進まず

「このままの状態だと入札が成立しなくなる」
ウエスタンデジタルが「NO!」、東芝のメモリー事業移管進まず

WDと共同運営する四日市工場

 東芝が分社して設立した半導体子会社「東芝メモリ」を巡り、提携する米ウエスタンデジタル(WD)の合意が得られず、事業移管が滞っていることが27日までに分かった。東芝とWDが出資する工場運営会社の株式について、WDの承諾を得られず、東芝の持ち分を東芝メモリに移行できない状態。このままでは東芝から独立後の東芝メモリの事業運営は困難で東芝メモリ売却の入札の阻害要因と判断される可能性が大きい。

 東芝は半導体メモリー事業を分社し、1日付で東芝メモリを設立した。メモリー関連の事業資産の大半を移管したが、四日市工場(三重県四日市市)を共同運営するWDとの合弁会社「フラッシュフォワード合同会社」(同)の持ち分は移行できていない。東芝は「協議を進める」とするが、東芝メモリ売却に異議を唱えるWDが対抗措置をとっている可能性がある。

 フラッシュフォワードの出資比率は東芝が50・1%、WDが49・9%。合同会社では出資者を「社員」と呼び各社員が経営に関与する。社員が持ち分を第三者に譲渡するには原則として、ほかの全社員の承諾が必要になる。

 東芝メモリはフラッシュフォワードの持ち分を得られないと事業運営が成り立たない。「このままの状態だと入札が成立しなくなる」(ファンド関係者)との指摘もある。
               


日刊工業新聞2017年4月28日
後藤信之
後藤信之 Goto Nobuyuki ニュースセンター
「ウエスタンデジタル(WD)が、『NO』と言い続けていたら動かない」―。東芝幹部は漏らす。東芝が分社して設立した「東芝メモリ」への事業移転が滞っていることは、東芝メモリの売却に向けWDの意向を無視できない状況を浮き彫りにしている。今後、WDと日米の投資ファンドが軸となり入札が進みそうだ。一方、日本の事業会社も出資の機会をうかがっており、動向が注目される。

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