ソフトバンク回線開放は格安スマホの潜在需要を掘り起こす?

市場に与える影響は短期的には小さいも、格安SIMに移行する動きも

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東京都港区のU-NEXTストアにソフトバンク回線を活用した格安SIMが並んだ
 格安スマートフォン用通信サービス「格安SIM」は、大手キャリアの回線を借りて提供する。現在はNTTドコモの回線によるサービスが大半だ。au回線も複数社が使い始めたが、ソフトバンク回線はほとんど利用されていなかった。

 こうした中、日本通信とU―NEXTは3月下旬、ソフトバンク回線を利用し、iPhone(アイフォーン)向け格安SIMの提供を始めた。「ソフトバンク回線の格安SIM」という新たな市場を開いた格好だ。

 今回の格安SIMの登場により、ソフトバンク利用者はSIMカードを差し替えることで、手持ちのアイフォーンのまま格安スマホとして利用する選択肢を得た。

 大手キャリアの店舗で買った端末にはそのキャリアに利用を制限する「SIMロック」がかけられるが、それを解除せずに利用できる。
 
 「ソフトバンクのSIMロックがかかった端末は、これまで格安SIMの選択肢がなかった。(ソフトバンク回線の格安SIMに対する)潜在顧客は多い」。日本通信の福田尚久社長はそう強調する。潜在的な需要を想定し、初年度契約件数100万件を目標に掲げる。

 ただ日本通信とU―NEXTの格安SIMが市場に与える影響は、短期的には小さい。市場調査を手がけるMM総研(東京都港区)の横田英明取締役は「大きくないだろう」とみる。

 ソフトバンクも「当社事業に与える影響は軽微」と見込む。その理由は今回の格安SIMしか乗り換える方法がない端末が「アイフォーン6など」に限られるためだ。

 すでに「アイフォーン6S」以降の利用者は、両社の格安SIMに限らず、乗り換え可能になっている。総務省は2015年5月以降に発売した端末について、購入半年後からロック解除に応じるよう義務付けており、すでにアイフォーン6S以降は幅広い選択肢がある。両社の影響が軽微とする理由はここにある。

 一方でスマホ利用者にとって選択肢が増えるのは事実だ。調査会社のMMDLabo(同渋谷区)の吉本浩司社長は「今後ソフトバンク回線を扱う事業者が増えて宣伝活動などが活発になれば、ソフトバンク利用者に格安SIMという選択肢があると広く認識される。その結果、ソフトバンク利用者が格安SIMに移行する動きが活発になる可能性はある」と指摘する。

 実際に追随しそうな事業者がいる。「マイネオ」を展開するケイ・オプティコム(大阪市北区)だ。モバイル事業戦略グループの上田晃穂グループマネージャーは「(ソフトバンク回線の取り扱いに)関心はある」と明かす。

 同社はドコモとauの2社の回線でサービスを提供しており、両社から移行する場合は手持ちの端末をそのまま使える利点をアピールしている。ソフトバンク回線に対応すれば、その戦略を強化できる。

日刊工業新聞2017年4月7日

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ソフトバンク回線の開放が一層の市場活性化につながるか、格安スマホ各社の動向が注目される。 (日刊工業新聞第一産業部・葭本隆太)

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